生きているものは死ぬ。私たちも時々、道路で動物の死骸を見つけ、つい目を背けてしまう。
けれどこの本では、死んだ動物がどうなるのかを、時間をおって見せる。
キツネの死骸にハエが飛んできて卵を産み付ける。スズメバチが、肉を喰らう。2週間後、キツネのお腹のあたりが膨らみ、その3日後、ウジが毛皮を食い破って溢れ出す。それをハクビシンが食べる。キツネの体はボロボロになり、骨が見えるようになる。半年後、雪どけころになると、キツネの体は土に還ろうとしていた。・・・
昆虫の死骸にはアリがやってきて、土の中に引き込む。
砂浜に打ち上げられた魚を、オカヤドカリが群がって食べる。
大きな生き物を、小さな生き物が食べる。
タブーのように死を避けてきたような子どもの本の世界に、死がやってきた。人間も死んだ生き物を食べる。
死んで食べられることによってほかの生き物の命に関わっていく。
一生懸命死を食べて、一生懸命生きたい。(作者・談)
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2016年9月4日
- 読了日 : 2016年9月4日
- 本棚登録日 : 2016年9月4日
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