ユークリッド原論はユークリッドによる古代ギリシャ数学の集成で最初の公式集ともいうべきもの。定義の積み重ねで公理・公準を導き、そこから命題を証明し、また、その命題や定義、公理・公準を使用してさらに別の命題を証明するという形式となっている。しかし、代数が発明される前なので、命題などは文章で示され、証明も作図によって行われているため非常にわかりづらいのが特徴である。これが、タイトルの「読み解く」につながっている。
本書では三平方の定理やユークリッドの互除法などの証明を実際に作図しながら解説している。現代の感覚では非常に回りくどい印象を受けるが見事に証明されていた。また、ユークリッドの互除法では何が起きているのかが視覚的に示されてむしろ分かりやすくなっていた。途中、原論の公理が当てはまらない例として非ユークリッド幾何学にも触れている。非ユークリッド平面である楕円幾何と総局幾何での三角形の面積の公式とその証明が示されているのだが、美しい結果が導かれ、幾何学の面白さを示していた。
このほか素数の個数や完全数、円柱・円錐の体積など高度な数学分野なども証明していることが紹介され、ユークリッド原論はただ単に古い数学書ではなく、数学の基礎を凝縮したすごい書物であることが分かった。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
数学
- 感想投稿日 : 2019年10月31日
- 読了日 : 2019年10月19日
- 本棚登録日 : 2019年10月31日
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