ベンガル人のアメリカ移民二世が主人公。
彼はその出自から、自らのアイデンティティについて深く考えるようになる。
アメリカ人であると同時に、ベンガル人コミュニティでの強い結びつきの中で生きる主人公家族。どちらでもあると同時に、どちらにもなりきれない、そういう違和感の中でなおさら自分の輪郭は際だって感じられ、それは時に深い孤独にもつながってしまう。
この作品のことを考えるときいつも、テレビで見た、生きるとは選択することの連続であり、選択することは非常に困難である、という内容の、コロンビア大学の講義を思い出す。
講義をしていた教授は盲目の女性で、カナダ移民であるシーク教徒の両親から生まれ、アメリカで教育を受けたとのことであった。
シーク教徒という女性の選択が狭められた価値観で生活し、アメリカの自由な環境で教育を受けた彼女だからこそ、選択することの重要性と困難さに気づくことができたのであろう。
違和感をもってしか自己の輪郭をなぞることは困難であるということや、自分のおかれた環境の同質性を実感せずにはいられなかった。
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- 感想投稿日 : 2012年2月27日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2012年2月27日
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