駒場図書館ジュニア・スタッフおすすめ電子ブック

 本書の著者である笠松宏至(1931~)は著名な中世史家で、法制や法習慣の歴史を研究した。本書は笠松氏がこれまでに著してきた14の論考を一冊の本にまとめたものである。

 Ⅰ節の4つの論考は、それぞれ「傍輩」「甲乙人」「中央」「忠節」という語に注目し、現代的に推測するのではなく、どのような意味を有していたのか実証的に検討する。そのなかから中世人の心性や精神に迫ることも可能になる。

 Ⅱ節の3つの論考は、中世社会の通念に迫っている。すなわち中世における「もの」の分たれ方や、折中という法理念、さらには「古」文書の効力まで…。中世人の感覚や考え方に迫っていく。

 Ⅲ節は「中世の法意識」という一つの論考によって構成される。中世人にとって「法」とはどのような存在であったのか?現代社会と全く異なる“法意識”が鮮明に描かれる。Ⅳ節は短い論考集で、いずれも極めて興味深い。

 いずれも異なる主題を取り上げた論考であるが、「法」と「ことば」に注目して中世人との対話を試みているという点で共通している。そこにはもちろん、大きな限界も認められる。しかしその試みから、中世社会の豊かな姿が描き出される。

 歴史学の役割の一つとして、現代社会とは全く異なる別の社会の存在を知り理解することがあると、よく言われる。その観点から言えば、本書ほど優れた作品はそう多くないだろう。
(文科三類・2年)(1)

【学内URL】
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2023年3月1日

 思春期は、家庭の枠を超えて複雑な社会関係の中へと一歩を踏み出し、自らの行動の基盤を形成し始める重要な時期である。本書には、そんな思春期を生きる人々の健康や居場所づくりといった課題に対する洞察がまとめられている。「人生行動科学」というタイトルに「いまひとつイメージを掴みにくい」という印象を抱いた方も、病気、インターネット、セクシュアリティ、いじめ、精神障害……といった幅広い主題の中に、関心のあるものをいくつか見出せるのではないだろうか。実際に各論考を読めば、思春期の子どもたちが直面する困難や抱く感情には実に様々なものがあるということ、「反抗期」や「青春」といった言葉のみでこの時期を見渡すことは到底できないということに改めて気づかされる。
 先にも触れた「人生行動科学」は、実は学問の世界においても人口に膾炙した言葉ではないという。編者の一人は「人生行動を科学的に考えようなどということは,そもそも問題設定にすら取り組まれてこなかった.[中略]これを初めて科学の俎上に載せようというのが本書のねらいである」(4頁)と述べる。このような意味では、本書は挑戦に満ちた一冊といえよう。確かに、どの論考も、目を逸らすことのできないような重要な示唆、そして覚悟を含んでいる。ぜひ本書を手に取って、研究者、サポートの必要な子どもを持つ親、スクールカウンセラーなど、多様な視点から思春期に迫った執筆陣の、切実な声に耳を傾けてほしい。
(文科三類・2年)(3)

【学内URL】
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2023年2月24日

読書状況 読み終わった [2023年2月24日]
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その名の通り子守唄についての本。元々は1964年の刊行と古い本ですが、今読んでも刺激的で発見に満ちた好著です。
日本全国で歌われるたくさんの子守唄の歌詞を実際に引用しているのが興味深いのはもちろん、「眠らせ唄/遊ばせ唄」の区別や、「わらべうた」との微妙な違いなど、子守唄を考えるためのポイントを解説しています。
さらにこの本で注目すべきは、子守唄を唄った子守娘たちの境遇への着目です。明治時代、貧しい農村などから裕福な家に出稼ぎした子守娘たちの姿を、著者は同時代の紡績女工や女郎たちと同じ酷使された労働者と捉え、子守唄を彼女たちの労働歌として読んでいきます。当時の農村の様子や子守娘たちの生活の実態など、データも詳しく記述されています。
丁寧な民俗学的/社会学的アプローチと、詩人でもある著者らしい子守唄のテクスト読解が融合した興味深い一冊と言えるでしょう。
(文科三類・2年)(4)

【学内URL】
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2023年2月17日

読書状況 読み終わった [2023年2月17日]
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 本書は、立教大学MBAや早稲田大学で大好評の講義を書籍化したもので、筆者の平川克美氏によれば研究者としての視点ではなく、経営者としての視点で書かれている。株式会社の定義を「所有と経営を分離し、株主が主権を有することを前提とする」として一般的な株式会社よりも限定している。第Ⅰ部では、東インド会社から日本のバブル経済に至るまで幅広く、株式会社に関する歴史に触れている。第Ⅱ部では、現代の国内経済における株式会社の問題について触れている。

 本書の中で印象に残ったのは、株式会社の危険と実態のない幻想共同体としての存在が強調されていたことである。会社の中では、異なる生活をし個性を持つ個人がいることが見失われ、会社という実態のない存在が利益を生むために強引な活動が行われる。金銭的価値だけがすべてではないのに、異常な投機で利益を求め、経済が破綻する。このようなことが、歴史上も、現在においても繰り返されてきたことが分かる。

 しかし、株式会社の危険性や弱点を知っているからこそ改善してよりよいものにできるのではないだろうか。本書ではあまり記載がないが、経営・経済・組織学といったものを扱う他の本と組み合わせれば、危険を回避する糸口が見つかるかもしれない。筆者は人口が減少し、成長が停滞する時代に、なお株式会社は可能なのかを問うてみたいという軸を持っていて、筆者自身の考察も述べているが、読み手自身の考えも深めることができる素材となっている。
(文科三類・2年)(2)

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2023年2月17日

読書状況 読み終わった [2023年2月17日]
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 犬は、縄文時代から現代まで一万年もの間、人間の友であり続けている。その間、時代や地域によって実に様々な人「犬」関係を構築してきており、例を挙げていくときりがない。狩猟を手伝い、貴族を慰め、武士の娯楽になり、スパイ活動をし、伝令を行い、死体を処分し、魔除けに使われるなどの役割を果たしてきたのだ。

 本書の重要なテーマとして、日本犬とは何かという問題意識がある。明治末以降における国粋主義の高まりの中で立耳・巻尾の日本在来犬の血統を守る運動おこったが、見た目を重視するあまり実際の血統が軽視されている例があがっている。秋田犬、甲斐犬、紀州犬、柴犬、北海道犬。これらは天然記念物として指定されている在来犬種である。しかし、たとえば秋田犬は明治以降に強い闘犬をつくるべく洋犬の血を在来の猟犬に混ぜたものであり、血統の観点からは日本犬としてむしろ不適切ではないか。

 血統を守る運動は、実際は多様である日本犬の種々の型から、恣意的に理想的なものを抜出し規範化したものを「日本犬」だと定め、そこへの「純化」を試みているといえるだろう。ここで筆者は、そもそも「純粋な日本犬」などあるのだろうかという疑問を提示する。では、犬ではなく人であればどうだろうか。「純粋な日本人」といった概念は存在しないにもかかわらず、そう思い込んでいる節はないだろうか。犬が主人公として描かれながら、人間のことについても考えさせられる奥深い一冊であった。
(文科三類・2年)(6)

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2023年2月17日

読書状況 読み終わった [2023年2月17日]
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 一般に戦後日本における歴史学の来し方を整理した場合、1970年代半ばまでをマルクス主義歴史学の時代、70年代後半から現在に至るまでを現代歴史学の時代として分けることが多い。マルクス主義歴史学においては、いわゆる世界史の基本法則に基づき、政治・法・宗教といった社会一般の在り方はすべて経済活動、わけても生産力により決定されるのであり、生産力の発展史こそが最も重要であると信じられていた。

 こうしたマルクス主義歴史学では、とらえきれない史実があまりにも多く、多様な人々の来し方を反映した歴史叙述は到底不可能であった。マルクス主義歴史学から現代歴史学へと転換する道筋をつけ、70年代後半から80年代にかけての「社会史の時代」を創出し牽引した歴史家が、中世史家の網野善彦(1928-2004)である。網野は海民・商人・職人といった農民以外の存在が、中世日本において重要な役割を果たしていたことに注目し、天皇・貴族といった存在にも注目しなおして、豊かな日本像を描きだした。

 『無縁・公界・楽 日本中世の自由と平和』は、網野の代表作として知られている。縁切寺、自治都市、一揆、湊町、山林、市場、僧侶、女性、多種多様な存在に、網野は「無縁」の原理を見出す。それは主従関係・親族関係などの世俗の縁と切れていることを意味し、そうであるがゆえに不入権、地子・諸役免除、自由通行権、平和領域、私的隷属からの解放、貸借関係の消滅、連座制の否定、老若の組織といった特徴を持ったと説く。

 網野は中世史を終わりから初めまで遡る中で、「無縁」の原理が果たした重大な役割、そのこし方と起源を明らかにする。そして人類の歴史を、「無縁」の自覚されない「原無縁」の段階、「無縁」「無主」と「有縁」「有主」の分離と自覚、「有縁」「有主」による「無縁」「無主」の取り込み、といった段階としてとらえ直す、壮大な歴史観を提示する。そしてそこでもなお、「無縁」「無主」は消え去りはしないと主張する。
 
 本書は1978年に刊行された。社会史の時代が今まさに始まろうとしていた時であり、そのはじめを告げる記念碑的な著作であった。本書はベストセラーとなったが、いや、なったので、同時に学術界からは強く批判されることにもなった。マルクス主義歴史学が未だに強い影響力を持っていたということも、背景にあったのだろう。

 本書『増補版 無縁・公界・楽 日本中世の自由と平和』は、網野の原著(1978年刊)に、寄せられた批判にこたえた丁寧な補注といくつかの論考を加えた増補版(1987年刊)を、あとになって文庫化(1996年刊)したものである。きわめて膨大な補注からは、多岐にわたる批判に真摯に答える、網野の学問的誠実さが伝わってくる。

 本書は原著の刊行から40年以上が経過したが、その価値は決して色褪せることがない。本書の内容はやや難しく、私のような浅学菲才の者に、その内容が十分に理解できたかと問われれば甚だ疑問であるが、広く読まれるべき一冊であるということは間違いない。
(文科三類・2年)(1)

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2023年1月30日

 本書では9~19世紀の古典文献を用いて、イスラーム法における子ども観が考察されている。法制史ということで、家族の法的な関係がテーマだが、文献の解釈という歴史学の面もある。イスラーム法というと父の権力が強く、女性や子どもはその支配下にあるというイメージがあるが、それとはまた違った家族像が浮かび上がる。

 第2章では父親の権利について触れているが、再婚禁止期間規定を見ても、父親が本当の自分の子だけを実子とするだけではなく、曖昧な場合でも法律上は実子とされることを挙げ、父親のいない子どもが出ないようにする子どもの権利への配慮が示されている。日本の法律にも通じるところがあり、そのような視点から読むのも面白い。現代では到底考えられない非科学的な根拠に基づいて法が作られている場面が所々あり、歴史が感じられる。3章では母親の視点から、4章では子どもの教育という観点から論じられている。
 
 イスラーム法という普段あまり関わりのない分野の研究に触れ、イスラームへの固定観念を見つめ直し、現代の問題を考えるヒントになる本である。
(文科三類・2年)(2)

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2023年1月17日

読書状況 読み終わった [2023年1月17日]
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 本書が問題にしているのは、言語形成期を日本で過ごす在留外国人の子どもが、「将来どこへ行こうとも、地域社会の担い手たる市民として活躍できる」力をつけるために、日本社会における言語教育はどのようにあるべきなのかということである。実際、日本社会への包摂という観点から、外国人の子どもが日本語を学ぶ必要は否定できない。しかし、だからといって自らの母語をないがしろにしてもよいのだろうか。親との絆たる母語は、アイデンティティや精神的安定に密接に関係するものだ。

 このような問題意識に基づき、本書は、外国人児童にたいする日本語教育についての8年間に及ぶある調査を根拠として、自分の母語や母文化に誇りを持つことで精神的安定がもたらされ勉強などの活動に意欲的に取り組めるようになると主張したうえで、よりよい教育実践を提案している。個人的には、量的調査から、当事者へのインタビュー・アンケートといった質的調査まで包括的な調査が行われている点が好ましいと感じた。

 二言語能力というものが、そもそもどういうものであり、どのように査定されるのかなどいろいろと疑問は残るが、多文化共生が謳われる今日において、固定的・慣習的な日本の教育・教育観念への刺激的な示唆に富んでいる一冊である。
(文科三類・2年)(6)

【学内URL】
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2023年1月13日

読書状況 読み終わった [2023年1月13日]
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「父と娘」の関係を中心に、『無名草子』『とはずがたり』など日本の中世文学作品を読み解く刺激的な一作。さまざまな作品の中にあらわれる「ファザコン」の女性たちを丁寧にみつめ、社会規範から「はみだす」「かしこい」女性たちとして描き出していく筆致は鮮やかで、中世女性文学のいきいきとした側面を見せてくれます。『庭の訓』など女訓書を多く取り上げ、詳細にかつ批判的に分析しているのも本書の読みどころ。
筆者本人のエッセイ的な語りを交えながら語られるので読みやすく、なにより文学の中の女性たちへの愛情にあふれています。
(文科三類・2年)(4)

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2023年1月13日

読書状況 読み終わった [2023年1月13日]
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 渤海国を知っているだろうか。朝鮮半島北部から満洲南部、沿海州南部にかけての地域を支配した国家である。7世紀末に成立し、926年に滅亡した。一時は「海東の盛国」と称されて栄華を極め、日本とも盛んに通交した国である。

 この国の歴史の位置づけは、実は多分に政治的な問題である。渤海国が高句麗の後継を自称したことを踏まえ、韓国・北朝鮮では渤海国を朝鮮史の枠組みで理解することが多い。新羅と渤海国を朝鮮半島の「南北国時代」として理解し、その統合として高麗を描写するのである。これに対して中国では、渤海国における靺鞨族の役割を強調し、「中国東北」(満洲)の枠組みで渤海国を理解しようとすることが多い。無論かつての日本で、満洲進出を正当化するため、「満鮮史」という政治的な枠組みが創出され、これに基づいた学術研究が推進されたことも忘れるべきではない。

 渤海国については、いわば「歴史の争奪」というべき状況が続いていると筆者は指摘する。そこで筆者は視点を変え、多様な視点から眺めた渤海国を描き出すことで、多面的な存在としての渤海国像の構築を目指す。より具体的には、東アジア、東部ユーラシア、東北アジア、環日本海、環黄海・東シナ海という5つの枠組みを用意し、その中で渤海国がどのように描くことができるかを示している。

 「歴史の争奪」から距離を置いて、それでいて各々の歴史観を否定しない形で、どのような歴史叙述が可能となるのか。本書は一つの答えを示しているともいえる。渤海国の通史や地理にも一定の文量が割かれており、初心者にもわかりやすい。当該時代・地域に興味を持つ人だけでなく、歴史認識の問題に関心を持つ人にも、オススメの一冊である。
(文科三類・2年)(1)

【学内URL】
https://elib.maruzen.co.jp/elib/html/BookDetail/Id/3000049318

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2023年1月11日

 本書は東京大学の実際の授業の報告書やTA(ティーチング・アシスタント)といった授業の支援者の座談会を取り上げて、どのように工夫してアクティブな学びを創っているかを明らかにしていく。
 
 具体例に挙げられている授業の中には、受けたことのある教員の授業や名物講義として知られる授業もあり、東大の授業が垣間見えるのが面白い。授業担当者が報告書を書いているため、どのような意図で課題を出し、テーマを設定しているのかが分かり、勉強になる。例えば、第2章「平和のために東大生ができること」では、外国の方に向けて発表する際には、曖昧な日本語でまとめられたものは通じず、明確にするように学生同士で批判し合うようにしているとあり、どういう点に気を付けて発表するか新しい発見があった。また、多くの担当者が「勾玉型の机」による議論活発化の効果に言及し、身の回りの道具までアクティブラーニングのために用意されていることに驚いた。講義の裏側を知ることで、授業の選び方・受け方が変わりそうだ。学生目線ではなく、教育者目線で本書を読むと、アクティブラーニングの手法を取り入れる注意点やオンライン授業で生じている問題点、各教員による軌道修正の過程等、実践していくイメージが湧いてきそうな内容である。

 本書は授業の受け方を見つめ直したい大学生にも、アクティブラーニングを進めたい教育関係者にもおススメだ。
(文科三類・2年)(2)

【学内URL】
https://elib.maruzen.co.jp/elib/html/BookDetail/Id/3000103212

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2023年1月11日

読書状況 読み終わった [2023年1月11日]
カテゴリ e-book

 『日本大百科全書』は、ジャパンナレッジLibという国内最大級の辞書事典サイトに事典の一つとして掲載されている。下記リンクからも、ジャパンナレッジLibの「詳細(個別)検索」というページにたどり着く。そこには、「自然科学」から「社会」「文学」までさまざまな分野にわたる事項が143,623件にもおよんで掲載されている。全ての事項が50音順に並んでいるのはもちろん、分野ごとに絞っていったり知りたいワードを検索したりもできる。分野ごとに絞っていくと、平面的なはずの画面の上で、『日本大百科全書』>「動物」>「魚類」>「スズキの仲間」とクリックすることによって階段を上っていくような立体的広がりを味わえる。

 掲載事項件数は減るが、英語版として“Encyclopedia of Japan”もある。また、前述の「詳細(個別)検索」の隣にある「基本検索」に行ってみると、「百科」の『日本大百科全書』、“Encyclopedia of Japan”にくわえ、「日本語」には『デジタル大辞泉』、「人名・文化・宗教」には『日本人名大辞典』、「社会科学・統計」には『判例六法Professional』などありとあらゆる事典が勢ぞろいである。

 広大な世界が、このデジタル図書館にぎゅっと濃縮されているような、そんな印象を受ける楽しい一冊である。
(文科三類・2年)(6)

【学内URL】
https://japanknowledge.com/lib/search/nipponica/

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2023年1月11日

読書状況 読み終わった [2023年1月11日]
カテゴリ e-book

古本屋巡りや古書蒐集が好きで好きでたまらない「愛書狂」たちの姿を切り取った短編集。暇さえあれば書店へ足を運び、競売に参加し、一冊を巡って一喜一憂する主人公たちは、周囲の人々からは「不思議な人」とみなされてしまう。自分なりの「愛しかた」をもって本という生き甲斐に情熱を注ぎ、人生を賭ける愛書家の姿は、滑稽でありながらも、しかし、思わず引き込まれるようなエネルギーを放っている。
 美しい街並みや薄暗い書庫、雑多な商品が並ぶ古書店などの風景描写も、本書の魅力の一つである。読者は、まるで主人公と一緒に街を散策し、書架をかき分け、本の香りを感じているかのような気分になれる。さらに、ユーモアあふれる会話、テンポの速い展開にも心を掴まれる。こういった臨場感、没入感は、フローベールやデュマといった名だたる文豪だからこそ生み出せるものだろう。
 今述べたように、本書には文学史に名を連ねる有名作家たちの作品が収められている。しかしそれらは、少なくとも日本では、『ボヴァリー夫人』(フローベール)や『三銃士』(デュマ)などと比較すると、あまり知名度は高くないのではないかと思う。「だからこそ、読みたい」と思ったあなたは、本書に登場する愛書家のよきお友達になれる……かもしれない。悪魔の囁きにはくれぐれもご注意を!
(文科三類・2年)(3)

【学内URL】
https://elib.maruzen.co.jp/elib/html/BookDetail/Id/3000024238

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2022年12月28日

読書状況 読み終わった [2022年12月28日]
カテゴリ e-book

 本書は1950年代~70年代にかけて産休・育休制度を実現した日教組婦人部の運動に関して、団体内で軸とされたイデオロギーに焦点をあてて、制度化の歴史を追っている。「母性保護」と「女性の労働権」がキーワードとなり考察が進んでいくが、それに先立ち第2章では後に運動へ影響を与えることになる与謝野晶子、平塚らいちょう、山田わか、山川菊栄による論争を取りあげる。女性の職業生活や経済的自立の在り方に関する熱い議論で、当時の女性活動家のパワフルさに驚く。第4章では産休制度、第5章では育休制度の成立過程を扱い、運動で使用される主張の変化や資本主義における労働問題との関係、当時のジェンダー観による反対意見の乗り越え方など、複合的な視点から明らかにされていく。運動の全体像をつかめると同時に、当時の社会情勢が伝わってきて興味深い。
 
 教員という一職業だけに焦点を当てており、日本全体での制度確立の過程ではないが、産休・育休を作るまでに、これほど強く主張をし、政治家を始めとするアクターに働きかけてきたことに感服すると共に感謝の気持ちが湧く。育休運動の過程で、政治情勢が熟していないとして却下されたものの男性の育休も提案されており、そこから40年以上たった現在でも、導入が始まったばかりである状況に日本の歩みの遅さも実感させられる。
(文科三類・2年)(2)

【学内URL】
https://elib.maruzen.co.jp/elib/html/BookDetail/Id/3000090417

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2022年12月26日

読書状況 読み終わった [2022年12月26日]
カテゴリ e-book

この論文では、Liverpoolに所属するムスリムのサッカー選手、Mohamed Salahが、イギリスにおけるムスリムへの偏見を減少させているかを実証している。内容をかい摘み述べると、イギリス内でのhate crimeの観察データを基に、合成コントロール法(synthetic control method)等を用いて因果推論を行っている。結果として、彼の登場によりhate crimeは約16%減少したことが示され、スティグマ化された集団の中の有名人にふれることは、偏見を減らすと論証された。
ワールドカップの熱が冷め切らない今、サッカー選手の影響を実証的に捉えるのも趣深いのではないか。
(文科二類・2年)(5)

【学内URL】
http://doi.org/10.1017/S0003055421000423

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2022年12月26日

読書状況 読み終わった [2022年12月26日]
カテゴリ e-journal article

 本書は、移民や多文化主義、人種主義を専門とする社会・政治学者であるマルコ・マルティニエッロによる著作である。その名の通りいわば「エスニシティを社会学する」ための一冊だ。民族概念は、生物学から人類学、社会学までさまざまな分野にまたがる問題であるが、エスニシティなる語が学術文献にて初めて提起されたのは20世紀も半ばの社会学の文脈であった。この比較的新しい概念はさまざまな議論も呼び起こしているが、社会学は、この概念を道具とし、従来うまく記述ができなかった社会問題にたいしてアプローチしようと試みている。

 本書ではこういった生き物のようで捉えにくい概念について、その生成、既存の諸理論との関連、隣接概念との関連などから見事に包括的にまとめられている。さらには、社会階級や性などといった身近な政治社会問題にまで触れられており、読者の日ごろの問題関心を深めることもできるという点で魅力的だ。

 舞台が主としてアメリカや西欧であるため日本におけるエスニシティについてはつかみにくいところがあったり、学術用語がよくつかわれているため社会学的な知識を要請されるところがあったりするかもしれない。しかし、本書はエスニシティ一般について重要な視座を提供しているうえ、気になる箇所をつまみ食い的に読んでも理解できる構成となっているので、様々な関心に基づいて広く読んでいただきたい。
(文科三類・2年)(6)

【学内URL】
https://japanknowledge.com/lib/display/?lid=8021008470000

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https://www.lib.u-tokyo.ac.jp/ja/library/literacy/user-guide/campus/offcampus

2022年12月22日

読書状況 読み終わった [2022年12月22日]
カテゴリ e-book

 文学作品における語り手の言葉遣いを、「礼節」「作法」という観点から分析した一冊。語り口の、なんとなく読んだだけでは見逃してしまいそうな特徴を掬い上げ、それらにどのような効果があるのか、語り手は登場人物や読者との間にいかなるコミュニケーションを築こうとしているのか、などを解き明かす。『不思議の国のアリス』の「イライラ」をテーマとした読解など、親しみのある作品の今まで気づかなかった面を教えてくれる解説は、新鮮な驚きに満ちている。扱われている作品は題名の通り英文学が主だが、『怪人二十面相』と『銀河鉄道の夜』の分析も挿入されている。読んだことのある・聞いたことのある作品が取り上げられている章から目を通してみても、知らなかった作品に関する章を開いてみても、文学の面白さを堪能できること間違いなしである。
(文科三類・2年)(3)

【学内URL】
https://elib.maruzen.co.jp/elib/html/BookDetail/Id/3000027814

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2022年12月22日

読書状況 読み終わった [2022年12月22日]
カテゴリ e-book

 本書は東京大学で人文社会科学系研究者を中心に行われてきた死生学プロジェクトに、臨床現場に通ずる先生方が加わり、出版に至ったものである。欧米で展開されてきた死生学と、日本の死と生の捉え方は異なるため、日本・アジアに根ざした死生学を発展させるため、宗教や哲学といった多方面から生と死の問題を扱っている。

 第1章~第3章では主に死生学の紹介や終末期の意思決定の方法に触れ、実務的な内容となっている。第4章と第5章は死生ケアや死の受容について現象学や宗教面から考察している。第6章~第8章では、死別のケアや法的課題、スピリチュアルケアについて事例を挙げながら紹介している。

 死生学入門という名にふさわしく、死という問題は意思決定といった手続き面の問題と自身・他者の死をどのように受け入れるかといった意識面の問題からなり、どちらも盛り込む形でケアを考えていくという全体を掴むことができる。この本を読んでいて感じるのは、生前の意思の残し方にしても、死の受容の仕方にしても、まだ広く知られていない多様な方法があるということだ。死と向き合う瞬間は、誰にでもやってくるので、教養として読んでおきたい1冊である。
(文科三類・2年)(2)

【学内URL】
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2022年12月19日

読書状況 読み終わった [2022年12月19日]
カテゴリ e-book

●本書については、2名の学生がレビューしています。(それぞれ、2022年12月14日と2022年7月13日に公開。)


【2022/12/14公開のレビュー▼ここから】
本屋さんの棚を見ていれば、「その他」の海外文学としてまとめられてしまうこともあるラテンアメリカ文学ですが、その世界は豊饒で多様、「ラテンアメリカ文学」の一語でくくることができない広がりを湛えています。『100人の作家で知るラテンアメリカ文学ガイドブック』は、19世紀から最近までのラテンアメリカの作家100人について、伝記的事実や文学的評価、おすすめの作品などをまとめた一冊。
むやみに作家たちを褒めない辛口で詳細な紹介の一方で、くすっと笑えるエピソードなども多数扱われています。文学賞や新聞・雑誌、1960年代の「ラテンアメリカ文学ブーム」についてなど、作家論のみならず多角的な観点から論じているので、読むだけでラテンアメリカ文学世界の解像度が飛躍的に上がることはまちがいありません。
全くラテンアメリカ文学を知らない人でも楽しめるとは思いますが、すでに多少興味があり、どの作品から/作家から読んでいこうかな、と考えている人にぴったりの本でしょう。
(文科三類・2年)(4)
【2022/12/14公開のレビュー▲ここまで】


【2022/07/13公開のレビュー▼ここから】
 本書は、作家名と作品名・概要のみをまとめたガイドブックとは一線を画している。著者は、各作家の出自や家庭環境、当時の政治状況、出版事情といった、彼ら彼女らを取り巻いていたあらゆる環境を丁寧に見ながら、作品が生まれた背景を考察する。紹介文を読むと、実に多くの作品が、貧困や政権による弾圧などといった過酷な状況下で生み出されてきたこと、時には命懸けの執筆活動も行われていたことがわかる。筆者の分析は、さまざまな困難に直面してもなおペンを執り続ける作家たちの強い情熱、一つひとつの作品に込められた魂を生き生きと描き出す。
 本書では、全ての作品が手放しで賛美されているわけではない。まえがきで宣言しているとおり、著者は優れた作品に賛辞を送るとともに、物足りない点は躊躇なく指摘する。著者の徹底した分析からわかるのは、作品への評価は、その作品の質そのものだけでなくそれを取り巻く社会によっても決まるということだ。本書では、文学として優れているとはいえないにもかかわらず大流行を巻き起こした作品も挙げられている。文学界は置かれた環境の中でうねり、動いていくのだということを改めて実感させられる。本書はブックガイドであると同時に、各作家の生き様を鮮やかに描いた伝記であり、流転するラテンアメリカ文学界の記録でもあるのだ。
(文科三類・2年)(3)
【2022/07/13公開のレビュー▲ここまで】


【学内URL】
https://elib.maruzen.co.jp/elib/html/BookDetail/Id/3000089006

【学外からの利用方法】
https://www.lib.u-tokyo.ac.jp/ja/library/literacy/user-guide/campus/offcampus

2022年12月14日

この論文では、統計的手法を用いてアメリカの経済に関するニュースが実際は偏向報道であることを示している。具体的には、ニュースの殆どが富裕層の所得の変動と関連しており、貧困層とはあまり関連していないという内容だ。見るニュースによって、思考や行動の傾向が影響されることを鑑みても、この研究の示唆は大きいのではないか。また限られた観察データで如何に有効な結果を出すかという手法面に着目しても、良い勉強になるだろう。
(文科二類・2年)(5)

【学内URL】
http://doi.org/10.1017/S0003055421000137

【学外からの利用方法】
https://www.lib.u-tokyo.ac.jp/ja/library/literacy/user-guide/campus/offcampus

2022年12月12日

読書状況 読み終わった [2022年12月12日]
カテゴリ e-journal article

 京都・畿内に「天下」としての強い求心力を認め、信長・秀吉による天下統一の過程を中心に戦国史を描写する一国史的な理解が、現在は主軸である。そうした理解が一概に誤っているとは言えないとしても、果たして戦国史はそれだけなのだろうか?本書は「天下」以外の世界、具体的にはアジアを志向する九州の戦国大名たちの動向を通じ、国際色豊かな戦国史を活写する試みである。

 本書はまず、九州周辺の大名たちが遣明船などを通じ、中国との交易を志向し、そこから多くの利益を得ていたことを説明する。続いてその中でも、16世紀に主要な交易品となった硫黄に注目し、東シナ海交易で硫黄が果たした重大な役割を明らかにする。九州各地、特に島津領と大友領で盛んに硫黄が採掘され、硫黄のほとんど産出しない中国へと輸出されていったのである。

 更にこの時代、多くの「唐人」が九州に暮らして大きな役割を果たすとともに、現地の社会と次第に融合していったことも示す。唐人町は存在したが、唐人たちは決してその中に閉じこもることはなく、日本人と混じっていった。そして最後に、九州諸大名は東南アジアとも交易し、特に大友氏は自ら船を派遣するなど積極姿勢を示したことを指摘する。鎌倉期より一貫して強いアジア志向を有する大友氏は「アジアン大名」として位置付けられるべきで、その長い歴史のなかから「キリシタン大名」としての大友氏が生まれたと、筆者は主張する。

 本書はともすれば国内的視座に偏りがちな戦国史における、国際的視野の重要性に気付かせてくれる。16世紀、即ちいわゆる「鎖国」の直前、東シナ海を中心とした海域において、これほど多様で豊かな交流があったのかと驚かされた。従来の枠組みを相対化する好著である。
(文科三類・2年)(1)

【学内URL】
https://elib.maruzen.co.jp/elib/html/BookDetail/Id/3000026424

【学外からの利用方法】
https://www.lib.u-tokyo.ac.jp/ja/library/literacy/user-guide/campus/offcampus

2022年12月12日

 本書は法制史が専門で、東大名誉教授である石井良助氏の著作である。江戸時代の刑罰を、前期は一般予防(社会一般の犯罪防止)、後期は特別予防(再犯防止等)として捉える視点から、一般予防的な御仕置・牢屋と特別予防的な人足寄場(受刑者に職業訓練を科すような刑)について、詳細な記述をしている。後書きを執筆した高木氏によれば、石井氏に特有の「波動史観」が見られ、近世を前・中・後期に分け、前期から後期にかけてその時代の特徴が発展し衰退していくという文脈で刑罰も捉えられている。

 刑の執行に関して、役人の仕事や受刑者の待遇、牢屋の様子などが想像できるほど緻密に史料が集められ、臨場感がある。ゾッとするような刑執行の記述もあるが、それが当時の実態をよく表しているのだろうと感じられる。また、囚人の人権が守られていない一面はあるものの、刑の確定に対して形式上の手続きが整備されているなど現代に近い面もあり発見が多い。江戸時代ファンの方には教科書には書かれない、刑罰を巡る日常を見ることができる最高の書だろう。
(文科三類・2年)(2)

【学内URL】
https://elib.maruzen.co.jp/elib/html/BookDetail/Id/3000024902

【学外からの利用方法】
https://www.lib.u-tokyo.ac.jp/ja/library/literacy/user-guide/campus/offcampus

2022年12月6日

読書状況 読み終わった [2022年12月6日]
カテゴリ e-book

 21世紀に入り、従来のさまざまな社会・文化システムの揺らぎが問題になっています。「シリーズ:21世紀の社会心理学」は、そういった問題に社会心理学の見地から取り組もうとした企画です。シリーズの構成としては、対人行動、組織行動、文化行動の主要3領域を第1巻から第3巻で、被服や交通など、それぞれの重要な個別問題を第4巻から第13巻で扱っています。

 その第12巻にあたる本書では、葛藤と紛争についての豊富な理論と研究がまとめられています。とくに、集団間葛藤のメカニズムは、集団間で起きている問題を考えるうえで大変興味深いです。たとえば、集団間の攻撃行動が強まる要因の1つに、外集団の実体性というものがあります。実体性とは、ある集団のメンバーにとって、その外集団がどれほど強くまとまっているように感じられるかという概念です。実体性が強いほど、外集団における加害者以外のメンバーの責任が重く考えられ、また攻撃した時の効果が大きいため、攻撃行動が強まるということです。

 社会改善への貢献を目指し、社会心理学の総論としても個別問題の各論としても充実した本シリーズ。社会心理学を学びたい方、個別の興味にたいして社会心理学的にアプローチしたい方にはもちろん、人や社会について知りたい方にも広くオススメです。
(文科三類・2年)(6)

【学内URL】
https://elib.maruzen.co.jp/elib/html/BookDetail/Id/3000094440

【学外からの利用方法】
https://www.lib.u-tokyo.ac.jp/ja/library/literacy/user-guide/campus/offcampus

2022年12月1日

読書状況 読み終わった [2022年12月1日]
カテゴリ e-book

東京大学文学部国文学研究室の面々が、「共同性」をキーワードに各時代の文学を読み解いていく一冊。実際に行われた連続講義を元にした本で、日本文学研究書の入門としてはもちろん、他分野が専門の方にもとっつきやすいつくりになっています。
記紀歌謡からはじまって源氏物語、西行の和歌、井原西鶴の浮世草子、近代の私小説など多岐にわたるトピックを扱っており、もちろん各章の内容も充実しています。
また、最後に一冊の内容を振り返る全体討論も掲載されており、「『源氏物語』の作者は紫式部個人なのか」など、刺激的な話題が語られています。対象として扱う時代が違っても、それぞれの研究の技法や態度に通底する部分を発見できるのが面白いところです。
(文科三類・2年)(4)

【学内URL】
https://elib.maruzen.co.jp/elib/html/BookDetail/Id/3000103220

【学外からの利用方法】
https://www.lib.u-tokyo.ac.jp/ja/library/literacy/user-guide/campus/offcampus

2022年11月25日

読書状況 読み終わった [2022年11月25日]
カテゴリ e-book
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