月と六ペンス (新潮文庫)

  • 新潮社 (1959年9月29日発売)
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4

ゴーギャンの伝記に暗示を受け、書かれた小説。

だから「ゴーギャンがモデル」と言うわけでは無いらしい。
(人物像に共通点が無いわけでは無いが)

主人公ストリックランドは、
そこそこ成功した株式仲買人であったが
突然、絵を描くために妻子を捨ててパリへ…

このストリックランドと言う人が
全く私の好みでは無いタイプの芸術家。
(アンリ・ルソーの
純粋無垢なエピソードとかのほうが、
聞いてなんだか嬉しい)

「絵を描く」と言う情熱を取り去ったら
本当に本当に嫌だなあ。

でもふと疑問、
出奔前は、家庭の夫兼父親として
仕事に行ったりパーティーに出たり、
本当に普通だった、ようだ。

パリへ出ていくとなってからの
性格や行動の変化が激しすぎるなあ。

箍が外れた、と言う事なのかしらん?

印象に残ったのは、語り手の友達、
リンゴほっぺのオランダ人、ダーク・ストルーヴ。

実際身近にいたら、お人よし過ぎて
イライラしてしまうかもしれないけれど(!)
でもやっぱり、良い人だ。

この人に会えて、良かったな。

全体を通して、ある人のスキャンダルを聞いているというか
そんな感じの小説。(下品と言う意味ではありません)

モームの本はもちろん翻訳で読んでいるので
行方さんや中野さんの力もありましょうが、
文章が平明でだからと言って
世俗的でないというところが
気に入っている。

やっぱり私は「人間の絆」が好きだ。
また、「人間の絆」を近日中によむなり。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2012年4月21日
読了日 : 2012年4月21日
本棚登録日 : 2012年4月5日

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