ぼくは落ち着きがない

著者 :
  • 光文社 (2008年6月20日発売)
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本棚登録 : 602
感想 : 135
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長嶋有の本は毎回欠かさず読んでいるけれど、今回のがいちばんきた。というより、身につまされたというか。今回は登場人物の大半が高校生で、今までの作品に多かった30くらいの設定に比べて今の自分と近い。それに、30歳は未来の出来事だけど、高校時代は過ぎ去った過去。その年齢的な近さとやり直しのきかない遠さが、個人的にすごくきた。

もともと小説を読むのが好きでよく読んでいたのだけど、最近は小説はシフトしてビジネス書関係にシフトしていた。でも、ひさびさに小説を読んでみて、小説は時間つくってでも読まないといけないなあと改めて思う。
やはり、ビジネス書ばかり読んでいると思考が固定化されてくるような気がする。感情に豊かさや深さと言ったものが欠けてくるような気がする。そういう感覚はビジネス書を読んでいる時点ではわからないのだけど、こうして久々に小説を読むと、自分がいろんな感情をつぎつぎに思い出すのがよくわかる。つまり、いろいろな感情は気づかぬ間に忘れていたことがわかる。そして、読み終わった後もなんとなく世界の見え方は違っている気がする。思い出した感情はかならずしもいいものばかりじゃなくて、焦りとか不安とかいったものもあるけれど、それはそれで大切な糧だと思うし。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2010年9月12日
読了日 : 2010年7月7日
本棚登録日 : 2010年7月7日

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