「メトロポリタン美術館からゴッホの自画像を盗んでくれ。成功報酬は2万ドル」と依頼を持ちかけられた怪盗グリフィン。彼の信条は「あるべきものを、あるべき場所に」。依頼を断ろうとすると、美術館所蔵の自画像は贋作で、本物とすり替えてほしい、ということらしいが…。【以下ネタバレ含むため未読の方はご注意】講談社ミステリーランドのジュブナイル小説、法月綸太郎篇。第1部はニューヨークでの絵画すり替え大作戦。すり替えのトリックは描かれてないが、大胆な国賓訪問&ピザ騒ぎはちょっと面白い。カンパニー(CIA)に弱みを握られた怪盗グリフィンは否応なしに本命のフェニックス作戦に巻き込まれる。カリブ海にある共和国に舞台を移し、将軍の屋敷から呪いの人形を無傷で盗み出す作戦だ。ターゲットの人形のダミーが何体もあったり何度も本物・偽物がすり替えられるので、ついていくのがちょっと骨だけれど、法月氏らしい捻くり捏ねくりの展開が、とてもいい方向に生かされてるなぁと思った。そして最後に大統領官邸での大統領前での駆け引き、逃げったあとのオストアンデルへの切り札を切る逆転劇はスカッとした面白さ。法月氏の遊び心が満載の冒険ミステリだ。他の作品にはない爽やかさがあるなぁ。
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- 感想投稿日 : 2009年9月16日
- 読了日 : 2009年9月15日
- 本棚登録日 : 2009年9月16日
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