日本の近代とは何であったか――問題史的考察 (岩波新書)

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  • 岩波書店 (2017年3月23日発売)
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なぜ日本に ①政党政治が成立したか、②資本主義が形成されたか、③いかにして植民地帝国となったか、④日本の近代にとって天皇制とは何だったか、という4つの関心を解き明かしていく知的な好奇心をくすぐる本。意外にも明治憲法は今に繋がる民主的憲法であったが、教育勅語がそれに優先する存在だった!!中村正直(敬宇)のいう良妻賢母とは後年頻用された修身的鋳型の意味ではなく、自ら独立した市民として次代の独立した市民を育てる能力を持つ女性を意味していた!!受洗した敬宇は「キリスト教化された儒教主義」だったとの言説もあるとのこと。驚きの連続。日本が植民地支配に乗り出す契機は日本自身の不平等条約からくるアウトサイダーであったことが影響していたというのも吃驚である。戦後の日本の経済発展は米国が日本を通して共産主義に対抗するアジアを確立したい意図に助けられたとの考えも!確かに思い当たるところは大きい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 日本史
感想投稿日 : 2017年6月11日
読了日 : 2017年6月7日
本棚登録日 : 2017年6月11日

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