一神教と国家 イスラーム、キリスト教、ユダヤ教 (集英社新書)

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  • 集英社 (2014年2月14日発売)
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イスラム神学・法学専門のイスラム教徒(スンニー派)・中田考氏からキリスト教シンパを自称される内田氏が聞き出すという対話。副タイトルとは異なりほとんどがイスラム教の考えを中田氏が話す内容。イスラム教はキリスト教よりむしろユダヤ教との共通点が多いことを感じた。中田氏は灘中・高出身で東大では「駒場聖書研究会」に所属していたが、キリスト教かイスラム教で悩み、アッラーが慈悲の神だからという理由でイスラムを選んだとのこと!イスラム諸国の連帯を謳う憲章を掲げるイスラム協力会議(OIC)が統一を図るものではなく、むしろ「相互に主権を尊重=縄張りを侵さない」ものであり、分裂の現状を固定化し、既得権を守るカルテルであるとの中田氏の説明に、パレスチナ問題を巡る、イスラム世界が連帯して援助の手を伸べない冷淡さの背景を知ることができる。だからこそ中田氏はカリフ制の復活を主張しているのだそうだ。イスラム教から見た逆転の発想でイスラムこそがアブラハム以来のオリジナルであり、ユダヤ教はユダヤ民族によって、キリスト教はイエスによって改変されたものだとの考えているとの説明には「成程!」という感想だった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 思想・哲学
感想投稿日 : 2023年11月15日
読了日 : 2023年11月14日
本棚登録日 : 2023年11月13日

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