秘境西域八年の潜行 上 (中公文庫 に 11-1)

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  • 中央公論新社 (1990年10月1日発売)
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内蒙古から西寧、そしてチベットへと。1945年の外務省の特務を負った著者の蒙古人ラマを装った活動は危険そのもの。国民党の目を逃れるだけでなく、いわゆる西域の危険は略奪の無法地帯のよう。その中で、完全に蒙古人になりきった著者の語学力もさることながら、人々に愛され、守られる人間性を感じる。蒙古族、タングート族の生活ぶりの詳細な描写が貴重だが、これが日本政府、そしてGHQにとっての重要な情報だったということに、戦争に関する情報の重要性を痛感する。蒙古族が今では覇気のない平和な民族で、戦闘的な気概に満ちたタングート族との対比が興味深かった。西寧の街、タール寺、そして青海湖の記述は私自身の2017年の西蔵鉄道の旅が懐かしく思い出す!今は鉄道があるが、この当時は馬、ラクダ、ヤクなどによる移動だった!

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 紀行文
感想投稿日 : 2023年9月17日
読了日 : 2023年8月24日
本棚登録日 : 2023年9月17日

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