京都に残った公家たち: 華族の近代 (歴史文化ライブラリー 385)

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  • 吉川弘文館 (2014年8月20日発売)
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明治維新後に、岩倉具視・三条実美の2人の公家が東京への遷都に関して意見が分かれ、岩倉が消極、三条が積極というのは意外で興味深い。「京都を失っても構わない」とは三条の言葉。明治12年に華族に対して天皇から肖像写真の提出命令があり、それが今に残る。当時の公家の生活を彷彿とさせるが、そもそも写真を通して天皇が彼らを覚えようとしたのだと思うと現代にも通じて微笑ましい。武家よりも公家華族が貧しく従来通り質素な生活をしていた、とは皮肉であり、明治12年の久世家の盗難届の内容が残っており、金目のものがなく、泥棒にも当て外れだった!?とは淋しい笑い話。そんな中での閑院家・西園寺流の梅園家の女性・親子をめぐる不祥事はあまりにもドロドロし過ぎて壮絶としか言いようがない。明治から時代を重ね、京都華族の役割が貴族院議員のみとなり、それが今では文化伝統の保存に変化していったことは当然であり、それでこそ華族とされた方々の貴重な使命なのだと思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 日本史
感想投稿日 : 2014年11月6日
読了日 : 2014年11月6日
本棚登録日 : 2014年11月5日

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