舞姫 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (1954年11月17日発売)
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本棚登録 : 906
感想 : 71
4

波子は言う。
「結婚はみんな、一つ一つ非凡のようですわ。・・・・平凡な人が二人寄っても、結婚は非凡なものになりますのよ」

気怠く鬱々とした物語だった。
戦争が終わった平和な世界で、一つの家庭がキシキシと音を立てながら崩れてゆく。

波子も、娘の品子も、想う人がありながら踏み出せずにいる。無心に舞うことができない。
矢木は不気味だ。妻のことも娘のことも見下している。プライドだけが無駄に高い生活力のない男。
家族に毛嫌いされている沼田は、それほど嫌な人物だとは思えなかった。

「雪国」や「古都」よりも、現実的で生々しい。
生々しく、それでいて淡々としていて、心の奥底に沈殿していく。
余韻が長引きそうだ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 日本文学
感想投稿日 : 2015年1月2日
読了日 : 2015年1月2日
本棚登録日 : 2015年1月2日

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