日本人のための憲法原論

著者 :
  • 集英社インターナショナル (2006年3月24日発売)
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快刀乱麻を断つとは正しくこのこと。
切れ味鋭い論理の刃で、日本人の蒙昧の幕を切って落とし、日本人がいかにデモクラシー、憲法、国連というものを理解せず、誤解しているかを、白日の下に明らかにして見せる。
歴史を文明史観として捉えるセンス無くば国家は滅びるのだ。
目からウロコの凄い本。
小室社会学の集大成との言える。
 1.憲法論 2.資本主義論 3.天皇教論 
 4デモクラシー論 を、縦横無尽に論じ、日本人の知るべき基本原理を取り出してみせる。

憲法は国民を縛るものではない。
憲法が規制するのは為政者なのだ。
憲法の成り立ちから解き明かし、誰もが誤解している憲法の本質を明快に語る。
憲法改正の是非を問う前に、まず憲法とは何なのかを本書で学ばなくてはならない。

本書は物事を判断する基準を与えてくれる。
憲法、民主主義の奇跡的な意義を理解することで、それを殺さず守ることの重要性を分からせてくれる。
憲法、民主主義を殺すことは容易い。
殺さないようにするには、それらの本質を理解しておくことが必須だ。
北一輝がいかに優れた天才思想家であっても、この一点において、否定されなければならない。

中世のヨーロッパ史で、最重要人物が、カルヴァンであると言う指摘には驚かされる。
資本主義も、民主主義も、民主主義を支える憲法も、カルヴァンの考え付いた予定説が生み出したのだから、カルヴァン恐るべしだ。
キリスト教の原点回帰運動無くして、現代社会は生まれなかったのだ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 社会学
感想投稿日 : 2023年7月31日
読了日 : 2006年3月30日
本棚登録日 : 2022年11月26日

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