幸福な食卓

著者 :
  • 講談社 (2004年11月20日発売)
3.81
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本棚登録 : 5556
感想 : 1014
5

いやあ、反則ですよ、瀬尾さん……。

「父さんは今日で父さんを辞めようと思う」の書き出しで始まるこの作品。
さすが「坊ちゃん大賞」受賞作家。
毎度毎度の事ながら、一気に読者を魅きつける書き出しだなと思い、読み出した。
いつものように飾り気のない素直な文章が心に染み入る。
「ホントに彼女の文章はほんわかして心がほのぼのしてくるよなあ」と、映画「テルマエ・ロマエ」を観て大笑いした後に帰宅し、部屋で横になりながらこの本を読んでいた。
「最後は今回どんな終わり方なのだろう?」とのんびりした気持ちで読んでいたのだ。
最終章『プレゼントの効用』に入っても。
「中原さんも大浦君も微笑ましいカップルだなあ。大浦君は何をプレゼントし、何を中原さんに要求するのだろう?」
とワクワク、ウキウキしながら読んでいたのだ。
ところが、まさかの急展開。
そんな……。
一気に涙が零れ、気が動転してしまった。主人公の中原さんのように。
そんな馬鹿な……。嘘でしょう?
涙が止まらなくなった。
「反則だよ、瀬尾さん」と心の中で思わず呟いてしまったのだ。

思っていた以上に懐の深い作家でした。瀬尾まいこさんは。
泣かされました。やられました。参りました。お手上げです。降参です。
また、次の作品が読みたくなりました。それしか言えません。

映画化され、DVDも出ているようです。
しかも、昨日観ていたDVD『武士道シックスティーン』に出演した北乃きいちゃんの映画デビュー作だって。
そのうえ、この映画で第31回日本アカデミー賞新人俳優賞受賞だそうだ。
中原さんのイメージにぴったりだよなあ。観たい……。
おそらく映画を観ても、ラストは泣いてしまいそうな私です。はい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 瀬尾 まいこ
感想投稿日 : 2012年5月4日
読了日 : 2012年5月4日
本棚登録日 : 2012年5月4日

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コメント 2件

まろんさんのコメント
2012/05/10

こんばんは。『幸福な食卓』のレビューに温かいコメント、ありがとうございました!

佐和子と大浦くん、ほんとにほほえましくて、いつまでも見守っていたいような二人だったので、
あの展開には涙、涙でした。。。
大浦くんとの出逢いのおかげで、佐和子のトラウマが薄れてきていた矢先だったのに。

でも、少しずつ浮上しかかってた佐和子の心が、大浦くんのことでまたどん底まで沈んだのを、家族や友達や、ガサツなヨシコまでもが、それぞれ自分のやりかたで引っ張り上げようとする、そこがまた瀬尾さんらしくて素敵でしたよね。

映画も張り切って観に行ったので、その感想は映画のレビューのほうに。。。

nobo0803さんのコメント
2012/07/23

koshoujiさん、はじめまして。
「幸福な食卓」へのコメントありがとうございました。
koshoujiさんのお名前、私もフォローしている方のところで 拝見させていただき、レビューも読ませていただいてました!!これからはフォローさせていただきますね。

私にとって 瀬尾さんはこれが初めての作品なんですが、いやぁ~やられましたね・・
koshoujiさんは 他の作品も読まれているんですね。私も他のを読みたいのですが、、ただいま
図書館の予約待ち。。いつになることやら。

映画は皆さん、おすすめしてくださっているので是非、この夏休みに見てみようとおもってます。

今後ともよろしくお願いします!!

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