小説が衝撃的だったので、レンタル開始の今日、早速TSUTAYAに出撃。
いつの頃からか、「花いちもんめ」とはなんと残酷な遊びだろうと思っていた。
欲しいと言われて引き抜かれた子はうれしいだろうが、残された子は、最後まで欲しいと言われなかった子は……。
中学の昼休み、よくサッカーをした。
サッカー部のやつや、運動が得意でクラスの中心になるやつが、二人大将となって、二組に分かれる。
大将二人がじゃんけんをしながら、欲しいやつを選んでいく。
僕はサッカーが得意なほうだったので、2、3番目で名前が呼ばれるのだが、最後の方まで呼ばれないやつはどんな気持だったのだろう、と今になって思う。
あれも、一つ間違えばいじめの一歩になりかねなかったよなあ、と。
いや、今ではそれが明らかにいじめの入り口となっているのだろうか。
あの頃はそんなことを露ほどにも思わず、順々に人を選んでいたのだけれど。
この映画で、映画部の二人が最後まで呼ばれなかったシーンを見て、ふとそんな昔を思い出した。
運動部と文化部では明らかに運動部が上でカッコよく思われる。
そのどちらにも属さない帰宅部は、それを斜に構えて楽しそうな、でも真剣さを避けた高校生活を送っている。
彼ら全員の関係性は。付かず離れず。くっつきたいけれど、できない。
本当はアチラ側にも行きたい気もするが、コチラ側の今の関係も壊したくない。
そんなの真剣にやってどうするんだよ。
プロ野球選手になれるわけでもないし、映画監督になれるわけでもないし。
でも、それぞれ一生懸命に頑張って生きているんだ。
桐島は、ヒエラルキーの頂点であり、何でもできたからこそ、逆にもがきながら姿を消してしまうことになるのだろう。
そして、桐島の存在が消えたことにより、校内に新しい混沌が生まれ、それによってみんなが新しい思いを抱き始める。
僕はこの出演者の誰にも当てはまらない。
ことは簡単、男子校だったから、この共学の雰囲気を思い浮かべることができない。悲しいことだ。
この映画、キャスティングが絶妙で、まるで違和感がない。
帰宅部の三人も、野球部のキャプテンも、映画部のみんなも、バレー部の仲間も、吹奏楽部の部長も、バドミントン部の女子も、そして一見軽く見える女子二人組も。
それぞれの空気感を見事に表現している。
原作とはまた違った味わいだが、ことさら逸脱しすぎてはいない。
高校生のヒリヒリした日常を、映像を通してしっかり伝える名作ではないかと思う。
また何年後かに見てみたい。
──戦おう、みんなそれぞれの世界で生きていかなければならないのだから──
一点、気になることがあるとすれば、確かこの高校は進学校という記述が原作にあったように思うのだが、あまり受験受験としゃかりきになっている感がないのが不思議だ。
作者の朝井君自体が、敢えて受験を切り離して、高校生活と部活、男女関係というのにスポットを当てただけという見方もできるが。
まあ、どうでもいいことではありますが。
でも、彼にとって受験というのはどんな位置をしめていたのかな、と気になる。
追記:ごく個人的な話を言えば、僕はここに出てくる女の子の誰がタイプだろうと考えたが、結局ミーハーで、かつモデル系美人顔が好きなので、当たり前のように、桐島の彼女を演じた梨紗役の子だ。
その次がバドミントン部の実果だな。
梨紗役の子があまりに可愛かったので早速WIKIで調べてしまった。
山本美月という名前で、高三で2009年の東京スーパーモデルコンテストでグランプリを獲得したらしい。
どうりでスタイルがいいわけだ。顔ももちろんだがすらりと伸びた脚が美しい。
自分が高校生の時に、女子高生でこんな子がいたら、完全にノックアウトだったな。
でも、僕は桐島にはなれなかっただろうから、悶々とした毎日を送っていたに違いない(笑)。
- 感想投稿日 : 2013年2月15日
- 読了日 : 2013年2月15日
- 本棚登録日 : 2013年2月15日
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