イギリス観察辞典 大増補・新編輯 (平凡社ライブラリー は 9-1)

著者 :
  • 平凡社 (1996年11月1日発売)
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本棚登録 : 96
感想 : 9

 車を買った。JAFに入会した。すると毎月、ひそやかな楽しみが手もとに届くようになった。『JAF Mate』。いわゆる会員誌ですね★ 可愛い動物ネタが頻繁に載り、特に猫記事が熱く、見ていて何とも気持ちがほこほこほっこりです☆
 最大の楽しみは『林望の無印良道』。走り抜けるだけの殺風景な自動車道は登場せず、林氏のお車は存外ひなびたところに入っていきます。名もなき道。曲がりくねった細い坂道。湖畔。田圃。レンゲ田(?)。時刻表とにらめっこしないクルマ旅の魅力が満載♪
 この『無印良道』を読むたび、自分は何をしているのかとあきれつつも、「ほ~ら、面白いでしょ!」と小鼻がピクピクしてくるのを抑えがたい★

 なぜなら、前々からリンボウ先生の『イギリス観察辞典』の愛読者であるからです。150回読んでも読み飽きなかった(カウントした)! 英国文化・英国生活・英国映画・英国飯(家庭料理)……の面白さをあれこれ語っていて、自然体だからこそ林望氏の知性とユーモアがあふれかえった一冊なのです。この本も読み飽きないし、英国の魔力も永久不滅です☆

 私と私の周りの読書好きに限った現象なのか、いえ、多くが認めるところだろうと思うのですが、イギリスという国には特殊に熱いコア支持層があるようなんですね。日本生まれでも、くまのプーさん(児童文学)→ホームズ(探偵小説)→ジェーン・エア(女流文学)⇔シェイクスピア(戯曲)で育ち、そのどれもに愛着を保ち続ける人が多いのです。あとはクリスティーか。
 一体なぜ、これほど私たちは英国作品に焦がれるのか? 傑作だからというのもあるけれど、その魅力の源を『イギリス観察辞典』は浮き彫りにしています。伝統息づく国が、どれほど尊敬に値するのかを☆ 由緒あるものを遺すことに意識的で、時代に振り回されないかの国の、素敵な頑固さがたまらぬのです。それに引き比べ、同胞たちよ…(嘆)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: はっぴゃくじ@Review Japan掲載書評
感想投稿日 : 2021年1月18日
読了日 : -
本棚登録日 : 2004年5月20日

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