ハイジ 上 (岩波少年文庫 106)

  • 岩波書店 (2003年4月18日発売)
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本棚登録 : 215
感想 : 20
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アルプスのおじいさんのもとで暮らし始めることになった少女・ハイジの物語。昔見ていたアニメの原作を読んでみたいと手に取った一冊。上巻ではフランクフルトに住むクララとの出会いから、アルムへと再び帰ってくるところまでが描かれる。

アルプスの自然描写がとにかく美しい。風景の壮大さ、風に運ばれる花の香り、夕焼けに燃える山並み。アニメを見ている影響もあるとはいえ、目の前に浮かぶように感じられるすごさ。おじいさんの山小屋も風情があるよね。屋根裏部屋での干し草のベッド、下の谷まで見渡せるのぞき窓、こんなところで眠れたら癒されるだろうね。もちろん、パンと焼けたチーズにヤギのミルクもおいしそうで食べてみたい!

ペーターのおばあさんとのやり取りも大好き。目が見えないおばあさんの目をなんとか見えるようにしてあげたいと純粋に願うハイジ。そのハイジの思いに心動かされるおばあさん。ハイジと出会えたおかげで、目が見える以上に世界は明るくなったんだなと伝わってきて素敵だった。山へ戻ってきた時に白パンを渡すやさしさもいいよね。白パンも食べたくなる!

フランクフルトではハイジのつらさがどんどん伝わってきて読んでいてつらかった。ロッテンマイアーさんってこんな意地悪だったのかと。クララもハイジの様子に気づいてあげられたらよかったのにね。使用人ではゼバスチャンがやさしかったな。そして、ゼーゼマンとおばあさんがとても誠実で、ハイジに対しても態度を変えずに接していてよかった。フランクフルトでは大変なことも多かっただろうけど、こういう出会いはハイジにとっても大きなものだったのかもしれないね。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2020年10月1日
読了日 : 2020年10月1日
本棚登録日 : 2020年10月1日

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