三つ首塔 (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング) (1972年8月22日発売)
3.44
  • (52)
  • (77)
  • (177)
  • (26)
  • (3)
本棚登録 : 1077
感想 : 78
3

両親を亡くし、伯父宅に引き取られた音禰に思いがけない相続の話が舞い込む。その額なんと百億円!しかし、その条件は見知らぬ男・俊作との結婚だった。戸惑いの中で起きる惨劇の数々。その謎を解く鍵は、記憶の底に浮かんだ三つ首塔だった!

金田一耕助シリーズながら、音禰の回顧録という形で進んでいく。事件の渦中で秘密を抱えてしまう音禰。金田一はその秘密を暴こうとする敵として描かれる。「もじゃもじゃ頭の金田一耕助が安楽椅子にふんぞりかえっている」とか嫌われてるなあと笑ってしまう。音禰自身も事件後に読み直して苦笑いを浮かべてそう(笑)

否応なく事件に巻き込まれる音禰。遺産を巡る待ったなしの殺し合い!いくつもの顔と名前を持つ謎の男・高頭五郎に手を引かれ、スリリングな逃避行と恋愛を繰り広げる。きっかけがあれで恋にはならんやろ!とは思うけど、まあ二人の間で終わりよければすべてよしかな。

犯人も終盤までわからず、ハラハラして読めた。いわゆる推理小説ではなく冒険小説として読むとちょうどいい味わい。でも、締めくくりはイイハナシナノカナー?ってなる。金田一の言葉を借りれば「世の中には理外の理というものがあるもんですね」という言葉に尽きる物語。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2021年5月21日
読了日 : 2021年5月21日
本棚登録日 : 2021年5月21日

みんなの感想をみる

ツイートする