私たちが星座を盗んだ理由 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2014年4月15日発売)
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本棚登録 : 2555
感想 : 206
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ラストで鮮やかに反転する、ファンタジックな5つの短編集。


ふんわりした表紙画に、究極のどんでん返しとの紹介文に興味を惹かれました。

「恋煩い」
 一年半も名も知らぬ上級生に片思い中の『アキ』は、友達から聞いたおまじないを試してみる事に…。たまたま最初の同じ無いをした後に良いことがあり、馬鹿らしいとは思いながらも次々に試さずにはいられなくなるが、友人がおまじないを聞かせていたのには別の理由があり…。
 女の子の行動心理がいまいち受け入れられず、「ふーん」という感じ。オチは「プロバビリティの犯罪」。

「妖精の学校」
 少年が目を覚ましたのは白い世界。以前のことは覚えておらず、そこには彼と同じぐらいの子どもたちが暮らしていた。
 どうやら記憶を消された子どもたちが隔離されている島。何のために?この話の反転はどの部分を指すのか?ラストの数字の意味は?分からず終い。

「嘘つき紳士」
 お金が必要だった男が拾ったのは、直前に事故死した男の携帯だった。彼は死んだ男になり済まし恋人からお金をだまし取ろうとするが、だんだんと彼女に惹かれていってしまい…。
 死んだ男の彼女を悲しませないように、男が死んだことを知らせぬまま別れる。が、その後事故の真相に気づく。反転はこれが一番良くできていると思った。

「終(つい)の童話」
 怪物によって大勢の人が石像に変えられた村に、十年後石像を人に戻せる人物がやってくる。村人たちはくじで直す順番を決めるが、最初の男の石像が粉々に壊され、その後も次々に壊されていく。
 自分の家族の順番を繰り上げる為に他人を壊したのか?が犯人と動機は意外な結果に。しかもこの話は、結末が「リドルストーリー」。これ気になっちゃってあんまり好きな手法じゃないんだよね。

「私たちが星座を盗んだ理由」
 病弱な姉の為に、星座を一つ消してみせた幼馴染の男の子。秘かに憧れていた彼と再会した妹は、あの夜のことを訊いてみる。
 取り違えの理由はちと苦しいが、妹の気持ちは分かる。ただラストは予想通り。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 2017
感想投稿日 : 2017年2月8日
読了日 : 2017年2月8日
本棚登録日 : 2017年2月8日

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