本書は、浅く読み流すべきものではない。深く読み込み、何度も咀嚼すべきもの。この中には、存在の秘密、生命の意義などについて、思索のエッセンスが緻密に詰め込まれている。日本の誇るべき文学作品のひとつ、という謳い文句は断じて伊達ではない。同様の文体、話のつくりでもカラマーゾフの兄弟(日本語訳版)を読むよりは遥かに面白い。独特の言い回し、文体に慣れるまでは多少時間がかかるかもしれないが、3回ほど読み直せば問題はないだろう。読み返しが無駄にならない本である。
ただし、中途半端な読み方をすると精神に鬱の症状がでたりするのでその気のある人にはオススメできない。きちんと読めればそれすら問題ではないが、誰でもそこまで読み込めるわけではないので(本書を読んで自殺願望が高まった、という人は本意に到っていない、と僕は思う)。
(高校時代〜大学卒業時まで、一種のバイブルとしていた本です。いつのまにか文庫化されていたのか…。所持しているものは文庫版ではないのだが、掲載内容は同じモノとしてレビューを書きました。)
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- 感想投稿日 : 2005年1月12日
- 本棚登録日 : 2005年1月12日
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