オーストリアに占領されたベネチアを舞台に繰り広げられる、伯爵夫人と若い将校の悲恋もの。はじめから終わりが見えている恋に、自らさまざまな裏切りを重ね、地位や立場ばかりでなく正義すらかなぐり捨てて恋を貫こうとする。勿論待っていたのは残酷な別れ。ヴィスコンティの光と影を使った美しい映像が、その悲しみをさらに演出する。ロミジュリを見たときも思ったのだが、個人的にはこの自業自得的な悲恋の空騒ぎには酔えない。ただその愚かな将校が言うように、若くして故郷を離れ、見知らぬ街で命を落とす危険にさらされながら生きていれば、酒や女に溺れ、おかしくなってしまうこともあるのだろう。決して許されることではないが、その狂気じみた恋愛にも理由はある。戦争というものは、このほどさように人生や命をもてあそぶものか、ということは改めて実感する。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2012年11月18日
- 読了日 : 2012年11月18日
- 本棚登録日 : 2012年11月18日
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