すべてがFになる (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (1998年12月11日発売)
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本棚登録 : 29343
感想 : 3036
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理系ミステリーというジャンルを未読、さらにあの高名な森博嗣さんの作品も読んだことが無いという己の無知を恥じて読むことにした。無知は罪である。食わず嫌いは嫌いだ!

読んだ第一の感想はさすが理系大学教授、悔しいが難しい。高校受験の時から思っていたがどうやら自分は空間把握能力が低いらしい。僕の目の前にも浮かぶディスプレイで建物の立体図を見せてくれと研究所のコンピュータに願わざるを得ない。
謎解きのトリックがどうとか言うつもりは毛頭ない。それはこの作品の魅力はそんなところにあるのではないと思うからだ。天才女史が凡人の我々(皆を巻き込んですまない)に示唆した、身の回りにすでに謎が存在するという事実こそこの作品の面白いところだと自分は思った。
今でこそ人との接触をできるだけ避け、オンラインミーティングとかいうものが蔓延っているが、果たして感染が収まったとして無駄なエネルギーを消費して人と触れ合う必要があるのか。自分は妃真加島にある研究所のような生活に憧れた。厄介な人間関係に頭を悩ませる日々は嫌だからだ。悩むほど関係のある人間もいないが。

ともあれ、天才という生き物は羨ましい。だって凡人ではないから。僕の中に天才が眠っていないかと期待するばかりである。きっといるはずである!

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 文芸書
感想投稿日 : 2021年4月23日
読了日 : 2021年4月23日
本棚登録日 : 2021年4月17日

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