銃口 (下)(小学館文庫) (小学館文庫 R み- 1-2)

著者 :
  • 小学館 (1997年12月5日発売)
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主人公の北森竜太は治安維持法違反容疑で半年以上もだらだら勾留がつづいたあげく、教職の辞職届を出さざるを得なくなって釈放。その大量の教師を逮捕した事件は特高に忖度して新聞にも報道されず、どこに就職しても特高の尾行がつづきスパイ呼ばわりされ居心地が悪くなる。恩師の坂部久哉教師は衰弱の挙句亡くなってしまう。失意の中、招集通知がとどいたときも教職を失ったので幹部扱いからひらの兵隊となり、理不尽な暴行を受けて片耳の聴力も失う。満州で盲腸になり、親しくしてくれた近堂一等兵との別れ、山田曹長との終戦直後にソ連や中国の連中を避けながら決死の逃避行の中で、朝鮮人の抗日派につかまる。その抗日派につかまって殺されるしかないとなった矢先、、、助けてくれたのは旭川で命を助けたたこ部屋から逃げ出した金俊明だった。金俊明もまた決死の努力で日本に戻るすべをつくってあげて、日本に戻ることができる。弟保志は戦死していたが、懐かしい芳子とついに結婚できた、ついには教職に復職できたという、戦前の思想弾圧の不合理を上手に描いた感動作である。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2021年6月19日
読了日 : 2021年6月19日
本棚登録日 : 2021年6月19日

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