向かい風で飛べ!

著者 :
  • 中央公論新社 (2013年12月9日発売)
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本棚登録 : 203
感想 : 40
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道民は毎年冬になるとTVで大会の中継番組、新聞で結果などをよく見聞きするけど、見るだけ〜の人が圧倒的に多いスポーツ(特殊な競技で、一般市民には「ちょっとやってみよう!」って軽いノリで体験しにくい)、スキージャンプ競技のお話。

転校先で理子の美しいジャンプに魅せられ、母に反対されながらも競技の世界に足を踏み入れ、頭角を現すさつき。
敗北、挫折を未だ知らない、同年代の競技者の中では絶対的存在の理子。
ジャンプ競技を通して、違う分野に夢を見い出す圭介。
登場人物たちの切磋琢磨する様子がまぶしい。
さつきも理子もオリンピック選手になれただろうか?圭介の夢は叶っただろうか?物語の世界の未来ではきっと実現されていると信じたい。

より遠くへ飛んで記録を伸ばすには、道具や姿勢だけでなく、選手本人の体型もモノを言うようで、中学生になり身体に変化が現れ出した理子は、精神的にもスランプに陥ってしまうが、周囲の助けもあり、本来の自分を取り戻す。
食べ終えた晩ご飯をトイレで吐くシーンでは、この子このまま拒食症になってしまうのでは?!とハラハラだった。
小学生のころから「将来のオリンピック選手」と町中の人やマスコミにまでもてはやされ、理子には本当にプレッシャーだったと思う。「ジャンプがイヤになったらやめてもいい」と言うお母さんの存在がまだ救いだったのだろうな。
さつきのお母さん、序盤はヒステリックでイヤな感じの母親という感じがしながらも、夫や娘のしたいことに付き合わされて生活基盤がガラリと変わってしまう気の毒な人という印象も。
途中からは肝が据わって別人のよう。今置かれている環境で暮らしていく!という覚悟が伝わってきた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2023年10月10日
読了日 : 2023年10月3日
本棚登録日 : 2023年9月7日

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