瀬戸内寂聴の源氏物語 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2005年7月15日発売)
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本棚登録 : 298
感想 : 29

女がもの言えない時代に、プレイボーイの光源氏にたくさんの女が翻弄されまくって嫉妬や恨みでひどい思いをする
という印象だった源氏物語には興味なかったが、ふと読んでみると平安時代という特殊な時代背景や現代との共通点、女心の底知れなさなどがなんとなくおもしろくて完読した

恋愛事情は置いといて、
この時代の病気の原因はほとんど物の怪のしわざか、心の病が原因ということになっていて、医者ではなく加持祈祷などで治療する。

現代では考えられないことだけど、実際この時代の考え方の方が真実に近いような気もする。
全ての病は精神の病からはじまってると私は認識してるし、意外と誰かの想念や怨念のようなものが誰かを病気にさせるということもあるのではないかと思う。
人間の思いの力や言葉の力は本当にものすごい
トラウマが原因で病気になるというのも、同じことだと思う。
お前はダメだダメだと言われ続けたら病気になる

現代も、医者ではどうにもならないわけのわからない病気が増えてきている。
誰かが平安時代と今は似ていると言っていたが、その通りかもしれない。

病になったり、失恋をした女たちがみんなこぞって出家したがる現象もおもしろい。
今の人たちも、出家ではなくても、心を清めていく人が増えている気がする

平安時代の閉塞感と、今の時代の閉塞感や病的な感じもなんとなく似ている

恋愛事情よりも、背景を楽しんだ

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2018年8月10日
読了日 : 2018年8月10日
本棚登録日 : 2018年8月10日

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