幸せとは?死とは?そういった概念について、既成の評価に対する問いかけを受けているような物語だった。
一般的な家庭に育ち、一般的な教育(令和のこの現在標準だと信じられているもの)を受けた人であれば、ほぼ同じ価値観をもって幸せや死を定義するのだろう。
よい企業によい収入、円満な家庭。何一つ問題のない暮らし。それが幸せ。……本当に?
人生の終わり。忌避すべきもの。大いなる苦しみである。それが死。……本当に?
歳を重なることで描くことのできる幸せと、死に対する思い。歳を重ねていないからこそ描くことのできる幸せと、死に対する思い。
どちらも正解で、どちらも尊ぶべきものなのではないだろうか。
人生に正解などないというが、それは全てが正解だから1つの模範解答を示すことができない、という意味ではないのだろうか。
そんなことを考えさせられる作品だった。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
石田衣良
- 感想投稿日 : 2022年12月14日
- 読了日 : 2022年12月14日
- 本棚登録日 : 2022年12月5日
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