親指の恋人

著者 :
  • 小学館 (2008年1月29日発売)
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本棚登録 : 1344
感想 : 285
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 幸せとは?死とは?そういった概念について、既成の評価に対する問いかけを受けているような物語だった。

 一般的な家庭に育ち、一般的な教育(令和のこの現在標準だと信じられているもの)を受けた人であれば、ほぼ同じ価値観をもって幸せや死を定義するのだろう。

 よい企業によい収入、円満な家庭。何一つ問題のない暮らし。それが幸せ。……本当に?

 人生の終わり。忌避すべきもの。大いなる苦しみである。それが死。……本当に?

 歳を重なることで描くことのできる幸せと、死に対する思い。歳を重ねていないからこそ描くことのできる幸せと、死に対する思い。
 どちらも正解で、どちらも尊ぶべきものなのではないだろうか。
 人生に正解などないというが、それは全てが正解だから1つの模範解答を示すことができない、という意味ではないのだろうか。

 そんなことを考えさせられる作品だった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 石田衣良
感想投稿日 : 2022年12月14日
読了日 : 2022年12月14日
本棚登録日 : 2022年12月5日

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