最近とても好きな今村夏子さんの作品。
「あひる」、「こちらあみ子」に引き続き手に取った。
今まで読んできた今村作品とは異なる印象、全体に漂う「不穏感」は少なかったように思う。
個人的にはその「不穏感」中毒になっていたので、「あひる」の方が好みだったかなぁ…
自分のために宗教にのめり込んでしまった両親。
周囲からの異物を見る目に気が付きながらも、両親を裏切ることができない主人公。
両親、親戚、学校との関係を何とか成立させようと、努力する主人公がとても印象的だった。
根底にある、信仰の部分を変えることって、そう簡単なことではないように感じる。
自分だったらどうするかなぁ…と考えながら読み進めた。
働き始めるまで我慢して、その後は程良い距離感で付き合うことを選択するだろうか。
すぐに決別できる決断はできない気がする、ましてその理由が自分にあったのなら。
両親と星を見ながら終わる最後のシーン。
個人的には、主人公、そして両親共に離れて暮らすことを覚悟したように感じた。
<印象に残った言葉>
・あんたはどう?だまされてるの?(P108 なべちゃん)
・最近増えてんだよ、季節はずれの不審者が…(P118 南先生)
・わからない。わからないけど、お父さんもお母さんも全然風邪ひかないの。わたしもたまにやってみるんだけど、まだわからないんだ。(P173 ちひろ)
<内容(「Amazon」より)>
大切な人が信じていることを、わたしは理解できるだろうか。一緒に信じることができるだろうか…。病弱なちひろを救うため両親はあらゆる治療を試みる。やがて両親は「あやしい宗教」にのめり込んでいき…。第39回野間文芸新人賞受賞作。
- 感想投稿日 : 2018年6月3日
- 読了日 : 2018年6月3日
- 本棚登録日 : 2018年6月3日
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