久しぶりに読む辻村深月さんの作品。
あの独特の「胸に迫る感じ」が欲しくなり、購入、読了。
最初から最後まで、ひたすらにずっともやもやしながら読んだ。
読んだ後も、なぜだかすぐに感想が出てこず…というか難しい…ただただ、胸がざわついているというか、そんな感じだった。
なぜか?と考えてみると、この小説の中に出てくる友人との関係性に自分にも思い当たる節があるからかもなぁ…と感じた。
仲が良い友人に対しても、実は蔑んでいる部分もある。
でも、羨ましい部分もある。
そして、その上で成り立っている友情もある。
その現実的に成立している、でも少し気持ち悪い関係性を鋭く指摘されたようなところがあるのかなぁと、そんな風に感じた。
人間って、なんでみんな同列では満足できないんだろうか。
「人より抜きん出たい」っていう発想が無ければ、みんな飯くらいは食べられる幸せな人生を送れるかもなぁなんて、思ったりするけれど…
限りなく甘ちゃんの発想かな(笑)
なんかこう、生きるって難しい。
色んなものが無くなってしまったチエミ。
でも、父親からの信頼と、そしてみずほとの友情は残っている。
重たい話ながら読後感が悪くないのは、そこの救いがあるからかな。
チエミの幸せな今後を願ってやまない。
<印象に残った言葉>
・将来、同じ年の子のお母さんになろうよ。(P115、チエミ)
・あんたが普段ちゃんと管理しておかないから、懲らしめるために、試すためにやったのよ。みずほ、これからもきちんとしなさい。(P235、みずほの母)
・自分の人生の責任を、人に求めて不満を口にして終わり。そんな生き方、楽じゃないですか。与えられるものを待つだけ、自分で選ぶのではなくて、選ばれるのを待つだけなんです。その証拠に、会社にどれだけ不満を持ったところで、契約の更新がされるかどうかに怯え、彼女の口からは一度として転職という言葉が出なかった。自分で何かを決断したことがないから、変化が怖くてたまらない。(P297、亜里紗)
・すべてを人のせいにして呪うなら、悪いのは高校の先生じゃない。あなたの限界を決めたのはあなたの親だ、と。(P299、亜里紗)
・お母さん。これは、ひどい。(P364、みずほ)
・私には、最初から、何もなかった。(P476、チエミ)
<内容(「Amazon」より)>
地元を飛び出した娘と、残った娘。幼馴染みの二人の人生はもう交わることなどないと思っていた。あの事件が起こるまでは。チエミが母親を殺し、失踪してから半年。みずほの脳裏に浮かんだのはチエミと交わした幼い約束。彼女が逃げ続ける理由が明らかになるとき、全ての娘は救われる。著者の新たな代表作。2013年おすすめ文庫王国 エンターテインメント部門 第1位。(講談社文庫)
事件を起こすなら、私のほうだと思ってた。
母を殺してしまった娘と、母との確執を抱える娘。どんな母娘(おやこ)にも起こりうる悲劇。
- 感想投稿日 : 2019年7月5日
- 読了日 : 2019年6月27日
- 本棚登録日 : 2019年6月27日
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