最近の文学だけではなく、幅広く文学を…と思い手に取った本作。
夏目漱石さんの作品としては「こころ」に続き読了。
うんうんうん、本作とても面白い作品ですねー( ̄∇ ̄)
真っ直ぐだけどちょっとズレのある主人公、でも何だがニクめない…(笑)
分かりやすい勧善懲悪モノであり、友情的な要素もあって、今読むと何だかとてもベタ満載の展開です。
でありながらも、軽快な文章と、そしてバッサバッサと切り捨てまくる主人公の口の悪さ?が面白いのか、気付けば全く飽きることなく一気読みしてしまっていました(笑)
これだけ昔の作品を、今も普遍的に楽しく読めるというのは、やはり物語として純粋にスゴいことなのかなと。
「こころ」のように重みのある小説の方が、いわゆる夏目漱石さんウリの「ロマンチスト」感(笑)を味わいやすいかもしれませんが、本作にはまた違った良さがあるように思いました。
引き出しの多さ…さすが明治の大文豪だなぁと…(´∀`)
<印象に残った言葉>
・親譲りの無鉄砲で子供の時から損ばかりしている。小学校に居る時分学校の二階から飛び降りて一週間程腰を抜かした事がある。なぜそんな無闇をしたと聞く人があるかも知れぬ。別段深い理由でもない。新築の二階から首を出していたら、同級生の一人が冗談に、いくら威張っても、そこから飛び降りる事は出来まい。弱虫やーい。と囃したからである。小使に負ぶさって帰って来た時、おやじが大きな眼をして二階から飛び降りて腰を抜かすやつがあるかと云ったから、この次は抜かさずに飛んで見せますと答えた。(P5)
・死ぬ前日におれを呼んで坊ちゃん後生だから清が死んだら、坊ちゃんのお寺へ埋めてください。お墓の中で坊ちゃんが来るのを楽しみに待っておりますと言った。だから清の墓は小日向の養源寺にある。(P179)
<内容(「BOOK」データベースより)>
親譲りの無鉄砲で小供の時から損ばかりしている――。
歯切れのよい文章のリズム、思わずニヤリのユーモア、そして爽快感。マドンナ、赤シャツ、山嵐…、登場人物もヒト癖、フタ癖。自身の体験をもとに描く、漱石初期の代表作。
松山中学在任当時の体験を背景とした初期の代表作。物理学校を卒業後ただちに四国の中学に数学教師として赴任した直情径行の青年“坊っちゃん"が、周囲の愚劣、無気力などに反撥し、職をなげうって東京に帰る。主人公の反俗精神に貫かれた奔放な行動は、滑稽と人情の巧みな交錯となって、漱石の作品中最も広く愛読されている。
近代小説に勧善懲悪の主題を復活させた快作である。用語、時代背景などについての詳細な注解、江藤淳の解説を付す。
- 感想投稿日 : 2023年2月10日
- 読了日 : 2023年2月10日
- 本棚登録日 : 2023年2月10日
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