毒と薬の文化史:サプリメント・医薬品から危険ドラッグまで

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  • 慶應義塾大学出版会 (2017年10月28日発売)
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 表裏一体でもある毒と薬。その歴史に始まり、最近起きた事件と事故と題し、ソクラテス、クレオパトラの時代からM.ジャクソンやプリンスの死、VXによる空港での殺害まで俯瞰されて、興味をそそられる。
 素晴らしいのは、記憶にも新しい豊富な事例が、それぞれの発生した日時や経緯と共に、関係する薬(毒)物の化学構造式まで併記されて、専門的にも楽しめる点。
 西洋と異なり、薬剤師が医者の僕ともされかねない日本の医療の伝統への苦言が呈される。著者自身が、薬学研究者や薬剤師志望者に向けと説くように、医師が診る「からだ」でなく、「もの」の専門家としての薬剤師の使命と矜持を強調する。
 また、麻薬、覚醒剤、大麻から直近の危険ドラッグへの警鐘も鳴らし、医薬品のみならず、現代の薬物、毒物を取り巻く諸問題が良く分かる一冊。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2017年12月1日
読了日 : 2017年12月1日
本棚登録日 : 2017年12月1日

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