日本辺境論 (新潮新書 336)

著者 :
  • 新潮社 (2009年11月16日発売)
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感想 : 649
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内田樹さんの本に出会えて本当に良かったと思う。

読み進める度に、話が心に沁みる

完全にロジカルというわけでもないし、大風呂敷を広げまくっているところがあるのは分かっている。でも、何故か言っていることが、腑に落ちるというか、「あーなるほどなあ」と感嘆と発見がそこにはあるのだ。

理解できていない部分もあるし、また読んだら感想も新しくなると思う。素敵な本でした。

<中身かいつまみ>
1 日本の辺境性
日本の本質的な性質に、「辺境性」があるというのが主旨である。
コレをかみくだくと、ココではない何処かに、素晴らしいものがあるという想いである。
確かに、日本は世界比較が好きだし、中国・アメリカ・ヨーロッパなどがなんか凄いって思ってるところはあると思う。凄い納得がいく。そしてその性質は地政学的にも長期で身についたため、空気のようになっておりナカナカ取り除くことは難しい。
一方アメリカや、中国などは、自身は〇〇であるなどの自身の存在理由や流儀に中心がある民族である。

2 辺境性の学び
辺境性は、別に悪いことばかりではない。(どんな性質にもメリットデメリットの両面がある)
際たるものに、辺境の学びの効率の良さが挙げられる。
辺境性を持ってるが故に意欲的に様々な文化を取り入れることが出来る。
ただ、それだけではなくこの辺境性は、師の教え以上のことを学ぶということも可能にする。これは、日本人が得意、特徴とする学びの形である。学ぶものをその全貌がみえる前に学ぶべきだと嗅ぎ分け、そして師と認めることで、師の言葉以上のことを学ぶ。例えば禅問答などはその一例。師は語らないが、弟子は勝手に師が語り、持っている以上のことを師から学ぶ。
このような学びの構造は大変効率的かつ日本人特有である。

3 辺境性と日本人文化思想と文字
辺境性が生み出した日本文化や哲学は色々ある。(哲学の部分も紹介されてたが語れるほどはよく分からなかった。笑) 1つ日本文化と辺境性に大きく関わっているものに日本文字というものがある。
漢字を真名、ひらがなを仮名としている部分も明らかに辺境性の結果である。それだけなく、表音文字と表意文字をハイブリッドで使っている極めて珍しい言語である。この図と音を同時並行に処理するという文化が、日本の世界に誇れるマンガ文化を醸成してきた理由とも捉えることができる

(4 おまけ 時間の相対性)
本論ではないが、時間の体感はそれまでに過ごした時間に反比例するというのが面白かった。
(例えると一歳の時の1年を1とすると、50歳の時の1年は、0.02になる。)
これは確かにそんな気がする。ただ、真剣白刃取りの時などは、一瞬が引き延ばされる。だからこそ白刃が取れる。これはその瞬間に新しい自己が生まれているからというのである。なるほど面白い。逆に体感人生を長くするためには色々新しいことやらなきゃと思った。


面白いので是非読んでみてください。m(- -)m

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2018年4月5日
読了日 : 2018年4月4日
本棚登録日 : 2018年4月4日

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