小説 琉球処分(下) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2010年8月12日発売)
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感想 : 34

状況描写やら会話が随分と冗長だなと思っていたら、おそらく、そういった冗長さで琉球官吏たちの心の機微を細かく描写したかったのだろう。意外なのは、処分官に対する僅かながらの同情心が感じられたことと、頑固党に対する冷めた視線である。特に印象に残ったののは「蒙昧」という用語が何度も出てきて、これはヤマト人の琉球国人に対するレッテルなのだが、その後の歴史を見るに、結局はその用語はヤマト人に何倍にもなって跳ね返っているのを後世の我々は思い知ることになる。そして、琉球国を日本国に、清をusa、ヤマト国を中国に置き換えるとどことなく当時の琉球国人に既視感を覚えてしまうことが否めない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 琉球・沖縄
感想投稿日 : 2024年3月20日
読了日 : 2024年3月20日
本棚登録日 : 2024年3月20日

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