こういうテーマを飾り気なくあんな風に描くなんてかえって新鮮でした。当時をしてはエキセントリックな作品だったのかもしれないけど。
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だれでも、情欲をいだいて女を見る者は、心の中ですでに姦淫をしたのである。――マタイによる福音書第5章28
妻を殺した男が語る、性の欲望のおそろしさと罪深さ――。嫉妬のため妻を殺した男の告白を通して、惨劇の理由を迫真の筆に描き、性問題に対する社会の堕落を痛烈に批判した『クロイツェル・ソナタ』、実在の事件に自身の過去の苦い経験を交えて懺悔の気持をこめて書いた『悪魔』。性的欲望こそ人間生活のさまざまな悪や不幸、悲劇の源であるとして、性に関するきわめてストイックな考えと絶対的な純潔の理想とを披瀝した中編2作。60歳を越えてトルストイは、性の問題をテーマとした作品を書き続けた。「『クロイツェル・ソナタ』を通して言いたかった5つのこと」として、トルストイは「あとがき」を付している(本書解説参照)。トルストイの性に対する考え方がわかります。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
ロシア文学
- 感想投稿日 : 2023年6月29日
- 読了日 : 2023年4月29日
- 本棚登録日 : 2023年4月29日
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