横尾忠則と様々な分野の賢人たちとの対談集。
この本での横尾忠則は聞き手(引き出し役)に完全に徹している。本書でも述べているが「横尾教」崇拝の横尾忠則が対談相手から、時には自分の意見をズバっと言いながらも、うまく誘導して知ろうとしている。それが私たち読者にも大変読みやすく、興味深いものになった理由になるだろう。
この本は「瞑想(メディテーション)」がテーマとなっている。そのため、発行したときにはタイトルが「宇宙瞑想」だった。それが今回の文庫化に伴って「今、生きる秘訣」と改題された。その理由はこの本を読めばわかることだろう。
気になったところを羅列してみる。
最初の対談相手は岡本太郎。いつも思うがこの人の文、言葉というのは凄いパワーがある。それは紙を通してでも伝わってくるパワーである。その中でも特に考えたのがミロを巡る話。岡本太郎はミロは才能がある。だから感心することはない。才能のない表現、芸術しか認めないといっている。岡本太郎の思うことがうかがい知れた気がした。それと横尾が様々な画家を引き合いにだして例えるが岡本太郎がぜんぜん知らないというのも面白かった。結局は自分。
次に今西進化論の提唱者の今西錦司。その中でも気になったのが、科学者は「なぜ」という質問を持ちすぎたため、それに答えようと現代文明を作って、核を作った。「なぜ」に答えられるものだけで築き上げたのが現代文明。答えられないものは捨ててきた。捨てられているもののほうが多いのではないか。とういう部分。
次に「食物運勢学」の岩淵亮順。摂取するものによって手相などとは違い、運勢を変えることができる。それには理がある。病気になる原因は五欲からきている。
山手国弘の瞑想の話は興味深い。hじめは体が灼熱のように熱いだとか・・・。
最後の手塚治虫の自然は偉大なデザイナー、よい宇宙人は漫画にならないといった話も大変興味深かった。
今はほどんどが亡き人となってしまった対談集。大変価値のある言葉が残っている。これを読み、創作意欲とともに活力をもらえる。私たちも読んでいるときにメディテーションさせてもらってるようなパワーのあある書。
- 感想投稿日 : 2010年9月8日
- 読了日 : 2010年9月8日
- 本棚登録日 : 2010年8月27日
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