猫弁 天才百瀬とやっかいな依頼人たち (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2012年3月15日発売)
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本棚登録 : 2741
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ある事件を担当・解決したことからペット問題(なかでも猫)専門の弁護士と世間に思われている百瀬太郎。
優秀な頭脳と優しすぎるハートのバランスが悪く、そのせいか事務所は年中火の車だし、お見合いも上手くいかない。
そんな百瀬の事務所に舞い込んだやっかいな依頼。

猫が11匹もいる事務所!
猫好きにはそれだけでテンションあがります。
百瀬さんの事務所で働きたい(笑)

イメージぴったりの吉岡秀隆さんの百瀬さんはもちろん、猫もたくさん出ていたであろうドラマを観損ねたのが残念~。


以下、内容について。進むにつれネタバレ気味なのでご注意を。

作者がもともと脚本を書いておられたこと、ドラマの原作として書かれたこと、のせいか、簡潔でテンポが良い文章とシーンの切り替えでサクサク読める。
反面、情景や心情の書き込みが少し薄い気も。

平行して進む複数のエピソードと人物がだんだん繋がっていくのが、2時間ドラマ的ご都合主義で「どれだけ世間が狭いのよ?!」と突っ込んでしまったけれど、取りこぼしなく全てのピースが収まるところに収まるのでスッキリする。

どれだけご都合主義でも、登場人物がみんな幸せになるお話は好きだ。
「時間をかけてあらゆる制度を総動員し、オールハッピー」に導く百瀬さんのキャラが活きている。

大河内親子は二人とも素直に表現できないけれど、根っこはとても愛情深い。似たもの親子なんだなぁ。
母親を超えよう・倒そうと常に考えて、憎むほどになってしまった『究極のマザコン』の息子。
口では「死ね」やら「犯人が殺してくれてれば」など物騒で親不孝な言葉を言うが、いざ母親が殺された?!となるや赤鬼のような形相で犯人に襲いかかる。
かたや、ケンカ越しな物言いでわざと怒らせることで息子の背中を押す母親。
「母親の気持ちなど男にわかるものか」と三千代は言う。
けれど、わたしは進も心のどこかでわかっていると思いたい。

ラスト、七重の語る悲しい思い出。ひまわりの色。
最後にこの人にもっていかれるとは。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 大山淳子
感想投稿日 : 2013年2月21日
読了日 : 2013年2月20日
本棚登録日 : 2013年2月11日

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