チョコレ-ト・アンダ-グラウンド

  • 求龍堂 (2004年5月1日発売)
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チョコレート禁止令!
チョコレート大好きなわたしは、もしこんな世界になったら禁断症状でとんでもないことになりそう。

「リンゴさくさく気分を」
「ジューシーオレンジ気分をどうぞ」
「どうぞバナナを」
挨拶だけならユニークな健全健康党だけど、やっていることはまるで恐怖政治。
チョコレートを忘れられない子どもたちを再教育という名の下、洗脳じみた嫌忌療法を行ったりする。
訳者があとがきで書いているように「チョコ」を「自由」に置き換えると確かにぞっとして少しコワイ。

チョコレート禁止令に怒り、チョコレートの密造と密売をする主人公の少年二人スマッジャーとハントリー。
二人と組んで密売に手を貸す売店のバビおばさん。
同じようにチョコを愛し革命組織を結成、秘密集会を開く古本屋のおじいさんと出会い、チョコレートマンというキャラでCMに出ていたために失業しホームレスになってしまった役者を巻き込み、密売行為はだんだん大きなものになっていく。

チョコを食べたいという気持ちだけではなく、密造と密売という行為にドキドキワクワクしてしまうスマッジャーとハントリーが可愛い。
そして同じように浮かれてしまうバビおばさんも(おばさんというものの、おばあさんという年らしいが)とても可愛らしい。
ちょっとしたロマンスがあったりするところも可愛い。

革命のところは駆け足で書かれているような気もするけれど、終章の「謝辞とあとがき」が同じ世界で書かれており、後日譚が語られていて嬉しい。
人々が捜査官にした「仕返し」がしゃれているのだけれど、この仕返しがとても効果的だったとみえて後日譚に出てくる彼のその後がステキです。

お話だけでなく、装丁もすごく好き。
表紙カバーも可愛いのだけど、カバーをはずすと表紙は少しつやのあるチョコレート色で、扉の紙もチョコレート色、本文の文字も全部チョコレート色!
本からチョコレートの匂いがしそうで、読んでいる間に何回か嗅いでしまった(^^;)
(ふと知り合いがチョコの香りつきボウリングボールを使っていたのを思い出したり)

チョコ好きは読み終わったとたん、ピカピカのアルミホイルをばりばりと破ってチョコバーをかじりたくなること請け合いです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: その他海外作家
感想投稿日 : 2013年3月8日
読了日 : 2013年3月7日
本棚登録日 : 2013年3月8日

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