前回は、6巻まで読んでいた。ということをすっかり忘れて、4巻から読み始めたのだけど、夢中になってじっくりと四姉妹のお話に目を傾けた。
思えば、4巻目ぐらいから四姉妹とも見事に「恋」を始め、8巻目で、とってもとっても「現実味」ある、「現実ではなかなか無い」恋を成就させた。
すずが「ゼロからのスタートには慣れている」と言ったり、チカちゃんは赤ン坊が出来たり、恋の狩人佳乃は、流石、坂下課長をほぼ掌中のものにしたし、幸姉はまともな恋を始めた。もうまるで終わりの巻なのかと思ったが、どうもまだ終わらないらしい。
彼女たちは恋も生活も、海街で、河よりも長くゆるやかに、それぞれ
の仕方で味わっている。もしかしたら、作者は死ぬまで四姉妹に付き合うつもりなのかもしれない。
吉田秋生の描く女性は、30年以上も前から生活感のある、肉体を持った大人な女性だった。谷崎潤一郎『細雪』が、戦前昭和の大人女性群像を描いたのだとしたら、吉田秋生は、小説では描けない漫画という地平から、新たな現代四姉妹像を描こうとしているのかもしれない。
2018年11月読了
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
あ行 フィクション
- 感想投稿日 : 2018年11月23日
- 読了日 : 2018年11月23日
- 本棚登録日 : 2018年11月23日
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