3月のライオン 13 (ヤングアニマルコミックス)

著者 :
  • 白泉社 (2017年9月29日発売)
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本棚登録 : 2887
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映画もアニメも見ていないけど、今とっても評価の高い羽海野さんの作品を初めて、まとめて読んだ。

映画の予告編で散々見てきたので、物語は、事故で家族を失った零の少年期から始まり、幸田家での葛藤が前半になるとばかり思っていたら、最初から川本家でのお話になっていたのでびっくり。

途中で零の小学校・中学校の孤独な闘いを挿入する。作者は、実に綿密に作品世界を構築してから始めたことが分かった。

しかし13巻までなると、もう開始の頃の想定物語は無くなって、自由に登場人物たちを動かしているように思える。


もともと将棋ファンだったのかは知らない。羽海野チカは、かなり専門的に将棋を知っているように思えた。宗谷は当然羽生だろうし、二階堂は村山聖がモデルと思える。加藤一二三のモデルもいそうだし、柳原は大山名人だと監修者が証言している。

そして、現実がマンガに追いついた。藤井少年という中学生棋士が現実に踊り出てきて、零と見紛うかのような活躍を今年はした。藤井棋士が体験した将棋の世界を、このマンガで余すことなく見ることができた。


零は、雨のイメージがある6月町から川本姉妹のいる3月町を訪れ、やがて住み着くようになる。3月のライオンとは、そういう意味なのだろう。川本ひなたのイジメ克服の話を通じて、このマンガ世界が、人生を肯定的に見ることの大切さを語っていることに了解する。

いっき見に充分耐えうる作品だった。

2017年11月22日読了​​

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: さ行 フィクション
感想投稿日 : 2017年11月29日
読了日 : 2017年11月29日
本棚登録日 : 2017年11月29日

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