映画もアニメも見ていないけど、今とっても評価の高い羽海野さんの作品を初めて、まとめて読んだ。
映画の予告編で散々見てきたので、物語は、事故で家族を失った零の少年期から始まり、幸田家での葛藤が前半になるとばかり思っていたら、最初から川本家でのお話になっていたのでびっくり。
途中で零の小学校・中学校の孤独な闘いを挿入する。作者は、実に綿密に作品世界を構築してから始めたことが分かった。
しかし13巻までなると、もう開始の頃の想定物語は無くなって、自由に登場人物たちを動かしているように思える。
もともと将棋ファンだったのかは知らない。羽海野チカは、かなり専門的に将棋を知っているように思えた。宗谷は当然羽生だろうし、二階堂は村山聖がモデルと思える。加藤一二三のモデルもいそうだし、柳原は大山名人だと監修者が証言している。
そして、現実がマンガに追いついた。藤井少年という中学生棋士が現実に踊り出てきて、零と見紛うかのような活躍を今年はした。藤井棋士が体験した将棋の世界を、このマンガで余すことなく見ることができた。
零は、雨のイメージがある6月町から川本姉妹のいる3月町を訪れ、やがて住み着くようになる。3月のライオンとは、そういう意味なのだろう。川本ひなたのイジメ克服の話を通じて、このマンガ世界が、人生を肯定的に見ることの大切さを語っていることに了解する。
いっき見に充分耐えうる作品だった。
2017年11月22日読了
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
さ行 フィクション
- 感想投稿日 : 2017年11月29日
- 読了日 : 2017年11月29日
- 本棚登録日 : 2017年11月29日
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