二度見必至の傑作。中村義洋監督の出世作なのに、公開時見逃し、その後レンタルで借りて寝落ちして、その後原作を読んでもう観た気になっていた。
1週間前にfire TVstickがやっと手に入りAmazon primeで初めて最初から観た(2007年作品、岡田将生が少年の様に初々しい)。
原作を正確に(それは原作を隅々まで忠実にという意味ではなくて)、映像化していた。
あゝ大学入学で引っ越したばかりの頃、訳の分からない先輩がいて、社会も丸ごと迫ってきて、世界が広がって見えたなあ、などと思い出した。
原作を読んでいたはずなのに、まるきり騙された。俳優以外には低予算で作られた作品。濱田岳と瑛太と大塚寧々と関めぐみの4人芝居であるけれども、見事に騙された。心地よい騙され方。ずっと「アヒルと鴨とコインロッカー」と勘違いしていた。「アヒルと鴨のコインロッカー」だったのだ。一字違いで大違い。神様と相対するのは覚悟がいる。他人事じゃない。
後で出てくる松田龍平が、のちに瑛太と松田龍平のコンビで復活して、過去を語らないけど、飄々と仕事をこなしていったのは(「まほろ駅前多田便利軒」)、偶然ではなかったということか?大森立嗣監督は、2人を「来世で蘇らせて」「助けたかった」のだ。
コインロッカーの中で鳴り続ける歌が、これはホントにあったことなんだと神話化する。2年後、中村義洋監督は傑作「ゴールデンスランバー」を撮る。
(解説)
隣人の奇妙な計画に巻き込まれた青年が、事の真意を知るまでを描いた青春ミステリー。原作は伊坂幸太郎の同名小説。出演は「シュガー&スパイス 風味絶佳」の濱田岳、「どろろ」の瑛太、「ハチミツとクローバー」の関めぐみ。監督は「ルート225」の中村義洋。2007年5月12日より、宮城県仙台市内先行公開。
- 感想投稿日 : 2020年5月29日
- 読了日 : 2020年5月29日
- 本棚登録日 : 2020年5月29日
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