鍾乳洞殺人事件と二輪馬車の秘密収録。
前作は八墓村に大いに影響を与えているらしい。
以前にも横溝正史が江戸川乱歩と共訳した作品を読んでいるのだけれど、やっぱり趣があるなぁと。
翻訳作品なのに横溝ワールドがしっかり構築されている。
解説を読むと、横溝正史は小説をただそのまま訳すわけではなく、自分の中で再構築しているそうな。さもありなん。
言葉の選び方や、表現法などが慣れ親しんだ横溝正史のものなので、戦前に発表された作品を読んでも違和感がないのだろう。
内容はともかくとして。この点に関しては本書の解説でも「とにかく古いものなので内容を云々するべき性質のものではない」とくどいほど説いている。
確かにこの書は横溝のルーツを読むべくものだと思う。
翻訳者時代から改作癖があったなんて、横溝らしいではないか。ファンとしては実に嬉しい1冊だった。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
翻訳ミステリ
- 感想投稿日 : 2007年5月4日
- 読了日 : 2007年5月7日
- 本棚登録日 : 2007年5月4日
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