グループ経営入門: グローバルな成長のための本社の仕事

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  • 税務経理協会 (2010年9月1日発売)
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冒頭第一節の「やりたいこと」「先立つもの」「取り組む人」という枠組みの提示が「企業って何よ?」を明確に示していて価値がある。しかもこれ、企業に限らない話だ。

企業の場合は「先立つもの」を株式とか銀行からの借り入れとかで準備する。
政府、行政は税収とそれを元にした補助金とか助成金とか持ってる資産とか。
財団なら寄付を含む財産、資産。非営利セクターのNGOなら助成金、委託金、寄付金。
出どころが違うから利益が出たときの扱いが違う。

いずれも「やりたいこと」をやるため。

戦後以後の日本の企業は、不安定なはずの「先立つものも」「取り組む人」も前者は銀行、後者は年功序列・終身雇用・協調的組合という安定化装置を付けていたようなものだと。
それが今は外れたので自分たちでやらないといけない。

企業の財務部って何やってるの?とか、そのM&Aはホントに価値あるの?とか。経営計画立てるときにやることとか。
管理会計をどう経営の中で使って意思決定するか、という実際も考え方を理解しやすく書いてあって勉強になった。要はわかる範囲で大体。ただし、意味のある数字を使う。

事業をどう評価するか。
非営利ならキャッシュインフローを別の指標にするか、金額換算すりゃいいんじゃないのかな、とか。

財務的な企業価値は「左脳」的なもので、企業の一側面。「右脳」側の企業理念も大事だし、こっちだけでも当然ゴーイング・コンサーンではない。

グループの本社に求められるのは、将来予測や事業価値を見極める投資家として役割、事業間を刺激して新しい芽を育てる連携強化機能、利害関係者とうまく付き合っていくための代表機能、という。

わかりやすい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ビジネス本
感想投稿日 : 2011年10月20日
読了日 : 2011年10月14日
本棚登録日 : 2011年10月20日

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