木の一族 (新潮文庫 さ 28-3)

著者 :
  • 新潮社 (1997年3月1日発売)
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本棚登録 : 79
感想 : 10
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私小説作家の佐伯一麦。
都会で仕事を行ない、週末には田舎に引っ越した妻や子供たちや愛犬の居る家族の元へ帰り、共と生きる。
そんなちょっとした平凡な生き方も、難しさを秘めていて、そこまでの経緯にも問題があって、そういう日々が休む暇を与えずピンと張られた糸を感じさせられた。
妻の主人公に対する感情は、長年の積み重ねからか、酷く苦く、ギスギスしている。反面子供たちは週末の休みだけ帰ってくる父親を笑顔で迎える。そんな時々だけ、少しの間だが緊張の糸が解れる。
この連作の短編は、「行人塚」「古河」「ある帰宅」「木の一族」の4篇で構成されている。
読み始めて、「行人塚」は娘の態度に虚しさを感じ、「古河」と「ある帰宅」ではどこか川端康成の「雪国」を思わされる風景描写(窓ガラスを鏡に見る、火事)があった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2014年9月21日
読了日 : 2014年6月24日
本棚登録日 : 2014年8月2日

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