中巻ではいよいよ捕鯨が始まる。どのようにクジラを追いかけ、攻撃し、弱らせるのかや、ついに息絶えたクジラをどのようにバラし、油を取るかなど、詳しい説明があって興味深かった。クジラについての様々な説明や、捕鯨や船に関するもろもろの補足は純粋な物語を求めている人には読みにくい部分もある。でも以前読んだユゴーの『レ・ミゼラブル』も途中でパリの下水道の説明が長々と挟まってたりしたし、そういうのも含めて一つの作品となっているから、読み飛ばしてしまうのはもったいないと思う。
クジラについて語るのはイシュメールなのかメルヴィルなのか。クジラの口の中を「美しく清楚な感じ」と表現する。本気か?と疑いたくなるが、とにかく惚れこみ方が半端じゃない。
この巻で好きなのは「64章スタッブの夜食」。コックさんにクジラのステーキを焼いてもらうが、焼き過ぎだとケチをつけるスタッブ。でもなんだかんだ言いつつ食べる。そして船に横付けされたクジラの死肉に群がるサメにお説教をするコックさん。この二人のやり取りがおかしい。スタッブは船員たちの中でもいいキャラしている。
ただ、この作品において一番キャラが立っているのはエイハブでもスタッブでもなく、メルヴィルだと私は思う。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
海外文学
- 感想投稿日 : 2016年8月25日
- 読了日 : 2016年8月21日
- 本棚登録日 : 2016年8月19日
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コメント 1件
淳水堂さんのコメント
2019/07/29