えらい哲学的な映画だったとおもう。作る人の意図なんて私にはわからないけど。
心理学者の主人公がソラリスって惑星に行ったら
昔自分が見捨てたあとに自殺した精神病の奥さんが出てきたって話。
ソラリスの奥さんは本人ではなく、主人公の記憶を元に創られているっていうのがすごい設定だなあ。
主人公を刺激するのは奥さんを見捨てて死なせた罪悪感だけど、ソラリスの奥さんは本当の奥さんじゃない。
自分の意思があって、自分は誰だと自問する…ように見えるけど、でも結局意思があるわけじゃなくて、主人公の心を映しているだけ。
奥さんの中にあるのは主人公の人間としての倫理であり、主人公には罪悪感とその罪を消したいっていうエゴだけが残っている。
ジバリアンのいっていたのがたぶん正解なのかなあ。
誰が人間で誰が妄想かわからない。人間が死んだら妄想が消えるかとおもったけど消えなかった。
ソラリスに目的なんかない。答えもない。妄想を捨てて帰ることを選択しろと。
ならこのジバリアンは誰の妄想?一人に一つの妄想ではないことはたしか。だって主人公はいっかい奥さんを放り出したのだから。
妄想は妄想しないのかな?スノーの妄想がスノーを殺して成り代わっているのはたぶんそのまま。
ゴードンは最後まで自分の妄想がなんなのか言わなかったけど、なんだったんだろう。狂っていく主人公の対比としてうまく機能してたけど、やっぱり彼女も妄想にとりつかれてるのが面白かった。
奥さんの堕胎をきっかけとして、主人公は奥さんを見捨てた。さいごに主人公は地球にいるはずのジバリアンの息子の手を握って意識を失う。
もしかしたら、ぜんぶ堕胎した赤ちゃんの妄想じゃない?とドグラマグラ的に発想してみる。
最後の奥さんの独白は切ないなあ…。ほんとうに奥さんは妄想に過ぎないのか?だって人形は自分が人形であることを疑ったりしない。もしかしたら、主人公こそが妄想であり、奥さんは人間なのでは、とか途中は思っていた。でも最後のオチ見てやっぱり妄想だと思った。
妄想妄想かいてたら、バロック思い出したわ。あの狂った世界観がたまらん。
- 感想投稿日 : 2015年1月28日
- 読了日 : 2010年11月24日
- 本棚登録日 : 2015年1月28日
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