モモ: 時間どろぼうとぬすまれた時間を人間にとりかえしてくれた女の子のふしぎな物語 (岩波少年少女の本 37)

  • 岩波書店 (1976年9月24日発売)
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「はてしない物語」でも似たことを書いたが、児童文学という枠だけでは捉えられない、普遍的な作品だと思います。

子どもも大人も読む価値があると思うし、お子さんのいらっしゃる親御さんは、一緒に読むだけで、心穏やかに楽しく人生を送るひとつの指南を得ることができるでしょう。

時間を可視化したような美しい表現を想像することで、時間の大切さを知り、時間を節約することで、心に余裕が持てなくなり、逆に人生を悲しくつまらないものにしてしまうこと。

また、そうした人達が集まった場所の、どこかイライラした剣呑な雰囲気は、正に現代社会の通勤ラッシュに通じるものがあることなど、今の世の中にも当てはまることを、1973年のこの作品で提唱していた、エンデ自身がマイスター・ホラなのではないかと思えるくらい、どこか哲学的で、予言めいた別格な凄みを感じずにはいられなかった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 海外児童書
感想投稿日 : 2021年12月9日
読了日 : 2021年12月9日
本棚登録日 : 2021年12月6日

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