本屋で続編の「おわりの歌」を手にとり、前巻があることに気づいて購入。
プロのバイオリニストを母に持ち、声楽を志すものの、高校受験に失敗し、同級生や親との関わりを絶ち自身の中に閉じこもる玲。
ピアノの音に惹かれるものの、ピアノを習うことが叶わず稼業のうどん屋を手伝う千夏。
見えないものが見えてしまう、生きがいを失った、そんな女子高生たちが皆、クラスの合唱を機に歩み出していく。
小説の内容自体は一つの時間軸で進むものの、視点が章ごとに変わる短編小説のような一冊。
完結にまとめると
「少女たちの脱却」
と言ったところだろうか。
表向き華やかな女子高生活を送る中で、それぞれが他人を羨み、自分ならではの闇や悩みを抱えながら、他人と触れ合うことでそこから脱却してゆく。
読者の誰しもが一度は経験したことがあるような「死ぬほどではないが、自分にとっての苦しさ」が描かれている。
個人的には短編小説をあまり好まないため、全ての章で視点が入れ替わるより、数人のみに絞ってストーリーを進めて欲しかったと思ってしまう。
が、続編で彼女たちの「今」が読めるということで、その不満も少しは解消されているのかもしれない。
続編にも期待。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
2016年既読
- 感想投稿日 : 2016年6月16日
- 読了日 : 2016年6月13日
- 本棚登録日 : 2016年6月13日
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