内容を知らないまま題名に心惹かれて読み始めたが、これがあの日本で一番有名な少年、Aを題材にした物語だったとは。気づいた時にはもう途中で止められない程夢中になって読み切ってしまったが、これをどう消化していいものだか混乱する。小説で架空のお話だとは頭では分かって読んでいるつもりでも対象が色濃く頭の中を駆け巡り、事実と混乱する。被害者のご遺族が存命である現在、犯人の少年Aの内面や遺族のその後の生活や気持ち、また少年Aをアイドルのように好きになる少女の姿をフィクションではあるものの、描くという事は今一度ご遺族の心を深く傷つけはしないだろうかと危惧する。作者は登場人物の一人である作家志望の女性が小説を書く業のような言葉を物語の最後に記している。「私はこれから、迷って、悩み、苦しみ、悶えて、書いて、書いて、書いて、そして、死ぬのだ」この言葉はこの小説を書く上での作者の壮絶な覚悟だったのだろうと思う。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2017年8月15日
- 読了日 : 2017年8月15日
- 本棚登録日 : 2017年8月15日
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