これはいい。
好き。
19歳のみるめ(♂)と39歳のユリの話。
ほとんどBGMが無く、空気がゆったり流れてゆく。
友達の恋愛を横から見ているときのような気持ちになって
思わず顔がほころんでしまった。
パッケージ写真のような事も数回するけれど全くいやらしさが無かった。
さほど重要では無いけれど、「油が無くなる」シーンがちょこちょこ出てきたのが印象に残った。
ストーブの石油が無くなる
バイクのガソリンが無くなる
使い捨てライターの油が無くなる……
自室のストーブが点かなくなってユリがみるめに「寒いねえ、寒いねえ」と給油をせがむシーンは、まるで寒い部屋を通して彼女の内面を見ているようだった。
いつもは旦那さんが石油をいれてくれるんだ、と言うユリ。
かといって旦那さんを愛しているようには見えなかったから
ただ(メタファーとして)燃え上がらせて暖めてくれる存在が欲しかったのかもしれない。
多分深読みしすぎなんだろうけれど。
終盤、みるめがユリから貰ったライターの油はほとんど無くなってしまう。
寒いねえ。寒いねえ。
火が点かなくなったら、一体誰が埋めてくれるんだろう。
電話したいけどしたくない。
会いたいけれど会いたくない。
器用になれたならば良いんだけれど。
蒼井優の役が一番好きだった。
二十歳の自分は完全にみるめサイドから鑑賞していたけれど
もう少し年をとってから見返したらまた違う情景が見えるのかな、と思う。
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- 感想投稿日 : 2013年2月26日
- 本棚登録日 : 2013年2月26日
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