ーーもし未来の日本が「マトリクス」のようにコンピュータに支配されてたら?
という設定で妄想したら、実はボケ老人(教授)がアーキテクトで、主人公ヒロトがネオでした、という感じの話。
コントロール不能な領域まで進化したコンピュータが暴走するとしたら、そのシステム内で最も人々のデータを貯めることができる横浜のような大都市が人間を取り込む最適解をどこよりも早く出して隣接する別システム(ローカルJR)を吸収して増殖する、なんてことは有り得そう。
人々の生活に最も密着しているシステムを有する企業という意味ではGAFA(今はMeta)になるんだろうけど、日本人に楽しんでもらおうとすると「ブラタモリ」のように「丁寧にローカル展開するのが定石」とするなら、JRを舞台に選んだのは納得だ。ただ、路線図が馴染みありすぎるだけに、SF的「巨大建造物(システム支配によるディストピア)」の世界観に入り込むのに時間がかかった。wikiで登場人物の予習をしておくと読みやすいかも。
あと「実際の滅亡は想像よりも遥かにしつこく、嫌らしく、粘っこい。」という「長い終末期」にフォーカスしたフレーズも刺さった。映画やドラマの尺を考えると「一発逆転勝利」そしてエンディング!!という流れは仕方ないのだろうけど、お約束(有名俳優は死なないなど)は興ざめでしかない。
そうなんだ、現実の滅亡は長い時間をかけて苦しみをダラダラと増やし続けながらかすれ消えていくのだ。SFの醍醐味は、現実離れするほどに微細のリアリティ感に宿ると思う。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2022年4月10日
- 読了日 : 2022年4月10日
- 本棚登録日 : 2022年4月5日
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