夕映え天使 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2011年6月26日発売)
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本棚登録 : 1939
感想 : 188
3

物悲しく…、不可解な…、物語にビックリしています。
手に取った時は、天使というタイトルに。
何か、心浮き立つ物語を期待したのですが。
まったく逆でした(*^_^*)

【夕映え天使】
鈴木純子40才ぐらいは、東京で親子2人でやっているうらぶれたラーメン屋に突然「住み込みで雇っていただけませんか」といって現れた。その日から薹のたった看板娘として働きだしたが。半年後、突然にいなくなった。前日に親父が、息子50才の嫁にと懇願されて純子は居場所がなくなったのか。そして軽井沢警察から身元不明の自殺体がと電話がかかってくる…行くと。そこに同じ思いの大阪のうどん屋の主人が…。自分の居場所を探し続けた純子は…。もの悲しく、哀れです。

【切符】
1964年の東京オリンピックの年。広志は、間借り人の24、5の色白の美しい八千代さんと一緒に銭湯の女風呂に入った思いを胸に・・・。八代子さんが男と別れて広志の祖父の家から引っ越していく、その情景が涙を誘う終わり方です。

【特別な一日】
37年間務めた中堅企業を高橋は、3ヶ月早く退職日と定めた。きょう一緒に居たいという、12年前に別れた恋人の美しい鳥居秘書課長の申し出を拒み。同期入社の若月社長になぜ俺は長く営業部長に留め置かれたのかと怒り。妻の待つ家に向かう…。ここまでくると退職を機に離婚と思って読んでいると。突然、玉音放送が、超巨大彗星が地球に今日衝突すると…。ええぇぇ…、どうなっているのだと、叫んでいます。。。

【琥珀】
定年を前にして有給休暇を消化するために京都から三陸に一人できた刑事が、たまたま入った喫茶店で時効まで1週間、15年前に放火殺人をおこして逃げた犯人と遭遇する。だが、刑事はこの喜びを話す妻は、他の男と結婚すると、いま嫁に行った一人娘から電話があった。孤独な刑事は…犯人をそのままにして…。さびしさがひしひしと伝わって来ます。

【丘の上の白い家】
昔は栄えた港町であったが、いまはすたれた町から見上げる丘の上に大きな白い家が建つています。そこの御令嬢の百合様と、町の不良の高校生の小沢が知りあい。小沢は、自分には似合わないと思い親友で真面目な清田を紹介します。しばらくして清田が百合様と自殺をしたと。小沢宛の百合様の遺書には、私は、自殺相手を探していたと…本当はあなたと死にたかった。あなたは運がよいですねと…。百合様は、生き残りました。なんともやるせないです。

【樹海の人】
著者浅田次郎が、大学へ行かずに2年間体験した自衛隊の訓練の中で富士の樹海の思いを語る。浅田は、この中で市ヶ谷駐屯地内で小説家が自殺したと書いたときに、これは同じ時代を生きたものではないか……と思った。そして三島由紀夫に影響されて自衛隊に入隊したが……除隊した。

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夕映え天使
2019.11発行。字の大きさは…大活字。2022.07.04~07.09音読で読了。★★★☆☆
夕映え天使、切符、特別な一日、琥珀、丘の上の白い家、樹海の人、の短編6話。
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【音読】
2022年7月4日から7月9日まで、大活字本を音読で読みました。この大活字本の底本は、2011年7月に新潮文庫から発行された「夕映え天使」です。本の登録は、新潮文庫で行います。社会福祉法人埼玉福祉会発行の大活字本は、上下巻の2冊からなっています。
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読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: その他
感想投稿日 : 2022年7月9日
読了日 : 2022年7月9日
本棚登録日 : 2022年7月3日

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